フランソワ・フィヨン

フランソワ・フィヨン：フランス政界の重鎮の軌跡

フランソワ・シャルル・アマン・フィヨン（François Charles Amand Fillon）は、1954年3月4日、フランスのサルト県ル・マンで生まれました。共和党に所属し、ニコラ・サルコジ政権下で首相を務めたことで知られています。彼の政治家としてのキャリアは長く、フランス政界において重要な役割を果たしてきました。

生い立ちと教育

フィヨンは、バスク史家のアニー・スレと公証人のミシェル・フィヨンの長男として生まれました。3人の弟と共にサルト県の小さな町で育ち、ル・マンのノートルダム・ドゥ・サント＝クロワ高校を卒業後、メーヌ大学で公法の修士号を取得。その後、パリ第5大学と国立政治学研究院で博士課程研究免状を得ました。ジャーナリストを目指し、フランス通信(AFP)で研修を受けた時期もありましたが、早くに政治家としての道を歩み始めました。

初期のキャリア

1976年、サルト県選出の下院議員の公設秘書を務めたのを皮切りに、運輸大臣や産業大臣の事務所で要職を歴任。1981年には、サブレ＝シュル＝サルト市議会議員に初当選し、1983年から2001年まで同市長を務めました。また、サルト県議会議員やロワール地域圏議会議長なども歴任し、地方政治家としての地盤を固めました。

国会議員として

1981年、サルト県第4選挙区から出馬し、下院議員に初当選。当時27歳という若さで、下院最年少議員となりました。その後、国民議会総選挙で7選を果たし、2012年にはパリ第2選挙区から出馬し、8選を果たしています。防衛委員会のメンバーや仏タイ友好委員会グループの委員長なども務めました。

大臣としての活躍

フィヨンは、エドゥアール・バラデュール内閣で高等教育・研究大臣、アラン・ジュペ内閣で環境・開発・エネルギー・運輸相、そして郵政相を歴任。ジャン＝ピエール・ラファラン内閣では、社会問題・労働・連帯大臣として、週35時間労働制の緩和を盛り込んだ「フィヨン法」を制定しました。また、高等教育・研究大臣時代には、バカロレア改革を含む教育法を制定し、議論を呼びました。

首相として

2007年、ニコラ・サルコジの大統領選挙参謀を務め、サルコジ政権下で首相に就任。2012年まで首相を務め、サルコジ政権下での唯一の首相となりました。首相在任中は、財政再建や移民制限などの政策を推進しました。

大統領選への挑戦と失墜

2017年フランス大統領選挙に出馬を表明。共和党を中心とする中道右派陣営の予備選挙で勝利し、有力候補となりました。しかし、妻に対する不正な報酬疑惑が浮上し、支持率が急落。公金横領などの罪で訴追され、大統領選での敗北後、有罪判決を受けました。

政策と主張

フィヨンの主な政策・主張は以下の通りです。

歳出削減による財政再建
移民の制限
* ロシアとの関係を再構築

現在

2022年5月、控訴院は一審判決を見直し、フィヨンに対し禁錮4年（うち1年実刑）、妻に対し執行猶予付き禁錮2年を言い渡しました。かつてはフランス政界の中心人物であったフィヨンのキャリアは、スキャンダルによって大きく損なわれました。

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