エドゥアール・バラデュール

エドアール・バラデュール：フランス政界の重鎮

エドアール・バラデュール（Édouard Balladur）は、1929年5月2日にトルコのイズミルで生まれ、フランスの政界で重要な役割を果たした政治家です。彼は、フランソワ・ミッテラン政権下のコアビタシオンにおいて、第14代フランス首相を務めました。

生い立ちと初期の活動

バラデュールは、アルメニア系の家庭に生まれました。彼の家族は、迫害を逃れてイズミルに移住しました。その後、マルセイユに移り、教育を受けました。エクス＝アン＝プロヴァンス大学で法学を学び、パリ政治学院で公共政策のディプロムを取得、フランス国立行政学院 (ENA) を卒業しました。

1957年にENAを卒業後、マリー・ジョセフィー・ドラクールと結婚し、4人の息子をもうけました。1964年には、ジョルジュ・ポンピドゥー首相の顧問となり、1969年にポンピドゥーが大統領に当選すると、大統領府官房長に任命されました。ポンピドゥーの死後、一時的に政界を離れましたが、1980年代にジャック・シラクが中心となって結成された共和国連合に参加し、右派・保守政治家としての道を歩み始めました。

経済・財政大臣として

1986年、ジャック・シラク内閣が成立すると、バラデュールは経済・財政大臣に就任しました。彼は、公共企業体の民営化や富裕税の廃止など、新自由主義的な改革を推進しました。しかし、1988年の大統領選挙でミッテランが勝利し、シラク内閣が総辞職すると、バラデュールも下野しました。

首相就任と大統領選挙

1993年の総選挙で社会党が大敗すると、コアビタシオンが成立し、バラデュールが首相に就任しました。彼は、穏健な政治姿勢と手腕によって国民の支持を集めましたが、次第にシラクと距離を置くようになり、1995年の大統領選挙に立候補しました。しかし、右派・保守陣営が分裂したことや、シラクやリオネル・ジョスパンに埋没したため、第1回投票で敗退しました。この選挙では、最終的にシラクが勝利しました。

その後と現在

大統領選挙後、バラデュールは政界での影響力を失い、いくつかの選挙で敗北しました。しかし、彼は保守・中道諸政党の糾合による統一保守党の結成を主張し続けました。2002年には、シラクによって大統領運動連合が結成されました。

2007年の総選挙への不出馬を表明し、政界を引退しました。2024年3月現在、存命のフランスの行政の長(首相・大統領)の経験者としては最年長となっています。

栄誉

1993年、国家功労勲章グランクロワ
2008年、レジオンドヌール勲章グラントフィシエ章

エドアール・バラデュールは、フランスの政界において、首相、経済・財政大臣、そして大統領候補として、その名を刻みました。彼の政治手腕と政策は、フランス社会に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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