フランチェスコ・コッシガ

フランチェスコ・コッシガ（Francesco Cossiga、1928年7月26日 - 2010年8月17日）は、イタリアの政治家であり、同国の政治史において重要な役割を果たしました。彼は、内務大臣、閣僚評議会議長（首相に相当）、そして大統領という、イタリアの主要な役職を歴任しました。

日本では一般的に「コシガ」と表記されますが、原語に近い発音は「コッシーガ」です。彼の政治キャリアは、第二次世界大戦中から始まり、長くキリスト教民主党（DC）に所属しました。DCは、戦後のイタリア政治において中心的な役割を担っていた政党です。

コッシガは、1978年に内務大臣在任中に発生したアルド・モーロ殺害事件という、イタリア現代史における大きな悲劇に対応しました。この事件は、当時のイタリア社会に大きな衝撃を与え、コッシガの政治家としての能力が試される出来事となりました。

1990年代初頭、イタリア政界は「タンジェントポリ」と呼ばれる大規模な汚職事件に揺れました。この事件は、ミラノ地方検察庁の強制捜査をきっかけに発覚し、政官界の広範囲にわたる汚職が明らかになりました。この影響で、コッシガが所属していたキリスト教民主党も解体を余儀なくされました。

DC解体後、コッシガは1998年6月に共和国民主連合（UDR）を設立しました。しかし、この新党も長くは続きませんでした。マッシモ・ダレマ内閣への対応をめぐり、UDRはコッシガ派とクレメンテ・マステッラ派に分裂してしまったのです。その後、コッシガは共和国連合（Unione per la Repubblica, UpR）を新たに結党し、独自の政治活動を続けました。

2007年11月30日、イタリアの有力紙「コッリエーレ・デッラ・セーラ」のインタビューで、コッシガは「911事変はアメリカによる自作自演攻撃だった」と発言し、大きな波紋を呼びました。この発言は、彼の政治家としての晩年における特異な側面を示しています。

2010年8月17日、コッシガはローマ市内の病院で呼吸不全のため死去しました。82歳でした。

コッシガの略歴は以下の通りです。

1979年8月5日 - 第62代首相に就任
1980年10月18日 - 首相を退任
1983年7月12日 - 元老院議長に就任
1985年7月3日 - 第8代大統領に就任
1992年4月28日 - 一連の問題発言を理由とした弾劾騒動の責任を取り、大統領を辞任
2010年8月17日 - 呼吸不全により死去

コッシガは、イタリアの政治史において、その多岐にわたる経歴と、時として論争を呼ぶ発言によって、記憶される人物です。彼の政治活動は、イタリアの戦後史と深く結びついており、その功績と課題は、今日においても議論の対象となっています。


関連項目

キリスト教民主主義 (イタリア 1942-1994))
アメリカ同時多発テロ事件陰謀説
* イタリアの首相

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