フランチェスコ1世・ダ・カッラーラ

フランチェスコ1世・ダ・カッラーラ：パドヴァの領主、激動の生涯

フランチェスコ1世・ダ・カッラーラ（1325年 - 1393年）は、14世紀のパドヴァを統治した領主であり、その生涯は領土の拡大、近隣諸国との複雑な関係、そして芸術への支援に彩られています。

生涯：領主として

フランチェスコ1世は1325年にモンツァで生まれました。1350年、父ジャコモ2世の暗殺後、民衆の支持を受けて25歳でパドヴァの領主となりました。その統治下で、パドヴァは重要な政治的、経済的中心地として発展しました。

領土拡大と近隣諸国との関係

フランチェスコ1世は、領土拡大にも積極的でした。1360年には、ハンガリー王ラヨシュ1世の支援を受け、フェルトレとベッルーノを獲得し、トレントの貿易を支配するバルスガナも手に入れました。しかし、隣国ヴェネツィア共和国との間では、1372年から1373年にかけて戦うも成果は得られませんでした。キオッジャ戦争（1375年 - 1381年）ではジェノヴァ共和国と同盟しヴェネツィアと戦い、オーストリア公レオポルト3世からトレヴィゾを受け取りました。

ミラノとの関係と失脚

1385年、ヴェローナのスカリジェ家に対抗するため、ミラノの僭主ジャン・ガレアッツォ・ヴィスコンティと同盟を結びました。1387年には、ジョン・ホークウッド率いるパドヴァ軍がカスタニャーロの戦いでヴェローナ軍を破るという勝利を収めました。しかし、翌年ミラノはフランチェスコ1世を裏切り、ヴェネツィアと共にパドヴァを包囲。これにより、フランチェスコ1世は息子のフランチェスコ2世に領主の座を譲り、ロンバルディアへ亡命せざるを得なくなりました。その後、ジャン・ガレアッツォによってコモ、次いでモンツァへと移送され、1393年にそこで生涯を終えました。

文化人としての側面

フランチェスコ1世は、芸術のパトロンとしても知られています。パドヴァ大学を支援し、多くの芸術家を庇護しました。詩人フランチェスコ・ペトラルカは彼の友人であり、アルクァ（現在のアルクァ・ペトラルカ）に領地を与えています。これらの活動は、パドヴァの文化的な発展に大きく貢献しました。

家族

フィーナ・ブッザッカリーニと結婚し、娘のチェチーリア・ダ・カッラーラはザクセン選帝侯ヴェンツェルに嫁いでいます。

フランチェスコ1世の生涯は、中世イタリアの政治的混乱と文化の隆盛を象徴しています。領主としての戦略、芸術への愛情、そして家族との絆を通して、彼は歴史にその名を刻みました。

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