フラームス・ベランフ

フラームス・ベランフ：ベルギーの極右政党

フラームス・ベランフ（Vlaams Belang、略称VB）は、ベルギーのフランデレン地域を基盤とする右派ポピュリズム政党、あるいは極右政党と分類される政治団体です。党名は「フラームスの利益」を意味し、フランデレン地域の独立、移民制限、多文化主義への反対などを主要な政策として掲げています。

歴史

フラームス・ベランフは、2004年にフラームス・ブロック（Vlaams Blok）から改名した経緯を持ちます。フラームス・ブロックは1978年に設立され、当初は地域主義政党からの分裂勢力として活動を開始しました。しかし、党勢拡大のため、移民問題を中心とした排外主義的な主張を打ち出す戦略転換を行いました。

この戦略は成功し、1980年代後半から党勢を急速に拡大。1991年の国政選挙では、下院（代議院）で12議席、上院（元老院）で5議席を獲得する躍進を遂げました。この選挙結果は「黒い日曜日」と呼ばれ、ベルギーの政治に衝撃を与えました。

しかし、過激な主張から他の政党との連携は困難を極め、「防疫線」協定によって主要政党からの協調を拒否され続けました。そのため、議席を増やしつつも、中央政権や地方政権への参加は叶いませんでした。

2004年、フラームス・ブロックは裁判所から関連団体の人種差別的活動が認定され、政党補助金の支給停止処分を受けました。これを受け、党名をフラームス・ベランフに変更、事実上、組織を維持したまま新たな出発を図りました。

改名後も、フラームス・ベランフはフランデレン地域で一定の支持を維持しています。2006年の地方選挙では、当選者数を大幅に増加させました。しかし、その後は勢力拡大には至らず、国政選挙では議席数を減少させています。これは、同じくフランデレン地域を基盤とする新フラームス同盟の台頭などの影響も考えられます。

政策

フラームス・ベランフは、フランデレン地域の独立を強く主張し、ベルギー連邦からの分離を最終目標として掲げています。また、移民の流入制限や、多文化主義への批判、ワロン地域への財政支出への反対などを主要な政策としています。これらの政策は、しばしば極右的なものとして批判の対象となっています。

選挙結果

フラームス・ベランフは、フランデレン地域で一定の支持基盤を有しているものの、その過激な主張から政権への参加は実現していません。2014年の国政選挙では、下院で3議席、上院で2議席を獲得しました。欧州議会議員選挙でも議席を獲得していますが、欧州議会の政治会派には所属していません。

まとめ

フラームス・ベランフは、ベルギー政治において特異な存在感を示す政党です。フランデレン地域の独立や移民問題を巡る強い主張は、社会に大きな影響を与え続けていますが、その過激な姿勢が他の政党との連携を阻害し、政権参加への道を閉ざしている現状があります。今後、同党がどのようにその支持基盤を維持し、政治的影響力を拡大していくのか、注目されます。

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