欧州議会の政治会派

欧州議会の政治会派

欧州議会には、加盟国の政党や欧州規模の政党が集まって形成される政治会派があります。これらの会派は、国ごとではなく、近いイデオロギーを持つ議員によって構成されるため、超国家的な機関としての特徴があります。欧州議会内では、特定の政党ではなく、異なる政党の連合体が主流です。

政治会派の形成とその利点

欧州議会内の政治会派を形成するメリットはいくつかあります。基本的な要件を満たすことで、会派としての権利や特権が付与され、各議員は個々で行動するよりもはるかに強い影響力を持つことができます。例えば、「欧州緑グループ・欧州自由連盟」といった会派は、55議席を有し、個々の政党が持つ以上の権力を示しました。さらに、会派内での協力により、議会からの財政支援や委員会の席が確保されるメリットも享受できます。

会派が正式に認可されるためには、幾つかの条件を満たす必要があります。これには、全加盟国の4分の1以上の国からの議員で構成され、合計で25名以上の議員が必要です。また、議員は他の会派に参加してはいけないというルールもあります。

会派の政治的背景

過去には、会派の設立要件が議員数20人以上、加盟国の構成が5分の1以上とされていました。しかし、議員からの要望を受けてこれが改訂され、現行の基準になりました。この改正には賛否があり、特に数の少ない会派にとっては存亡の危機を迎える結果にもつながっています。

特定の議員は極右会派「独立、伝統、主権」の設立を試みましたが、議論を呼びました。結局は新会派の結成は認められたものの、委員会での委員長ポストは与えられませんでした。

会派の内部構成

各会派は、党首や書記長、議長などの代表者が選ばれ、その代表者が定例議会に出席して議題を調整します。議会における票決の際、会派全体としての賛成・反対意見が必要ですので、内部での合意形成が重要な役割を持っています。

政党間関係と会派の影響

欧州議会は、従来の議院内閣制とは異なり、特定の政権与党が一貫して優位な立場になることはありませんでした。議会運営は主に会派間の対話を通じて行われます。特に保守・キリスト教民主主義系の「欧州人民党グループ」と社会主義系の「社会民主進歩同盟」は、過去において議会内での影響力を保持してきました。

1999年以降は、これら二つの会派が「大連立」と呼ばれる協力体制を築き、議長職を分け合うことに合意しました。一般的に、会派の代表者が議題に関する合意形成を図ることで、議会の円滑な運営が可能となるのです。

歴史と会派の変遷

欧州議会の設立当初、社会主義、キリスト教民主主義、自由主義といった異なるイデオロギーの政党がそれぞれ会派を結成しました。時間が経つにつれて、新たな会派が次々に構成され、時には合併や解散も繰り返されました。

特に1999年の選挙以降、欧州自由民主同盟グループなど、自由主義系の新たな会派も形成されました。逆に、極右系の会派は一貫して形成されることは少なく、過去の会派の解散や内紛を経て、新たな試みが行われています。

結論

欧州議会の政治会派は、欧州連合内での重要な意思決定の場であり、その構成や運営は時代によって変わりゆく政治環境に密接に関連しています。これにより、会派間の協力や対立が形成され、議会全体のダイナミズムを生み出しています。

もう一度検索