新フラームス同盟

新フラームス同盟（N-VA）：ベルギーを揺るがすフラマン民族主義政党

新フラームス同盟（Nieuw-Vlaamse Alliantie、略称：N-VA）は、ベルギーを代表する政党の一つであり、オランダ語話者の多いフラマン地域を基盤とする中道右派政党です。時に「新フランドル同盟」とも呼ばれます。同党は、2001年に人民同盟（Volksunie）が分裂した際に、その右派勢力によって結成されました。左派は、社会自由主義を掲げるスピリットへと転身しました。

N-VAの党首はバルト・デウェーフェル氏です。彼は、ベルギーの王制に対して批判的な立場を公に表明しており、2012年のアントウェルペン市長就任時の王宮会見ではノーネクタイで出席し、「私は民主主義者であり共和主義者です。出自によって権力を持つ人物は信用しません」と発言しました。この発言は、ベルギー社会に大きな衝撃を与えました。

N-VAは、これまでキリスト教民主フラームス（CD&V）と緊密な関係を築いてきました。両党はしばしば統一会派を組んでおり、代議院（下院）では30議席、元老院（上院）では14議席を占めていました。イヴ・ルテルム政権下では、与党として上下両院で主要な勢力として君臨しました。

2010年の総選挙では、N-VAは単独で立候補し、代議院で27議席を獲得して第一党となりました。しかし、デウェーフェル氏は首相就任を拒否したため、連立政権の形成は難航し、政局は混迷を極めました。最終的に、ワロン系社会党のエリオ・ディルポ氏が首相に就任するまで、535日もの歳月を要しました。

2012年、デウェーフェル氏のアントウェルペン市長当選は、フランデレン地域におけるN-VAの影響力増大を象徴する出来事となりました。

2014年の総選挙では、N-VAは33議席を獲得し、再び代議院第一党となりました。その後、改革運動（MR）、フラームス自由民主（VLD）、CD&Vとの4党連立政権が誕生しましたが、首相にはN-VAではなくMRのシャルル・ミシェル氏が就任しました。

しかし、2018年には、ミシェル政権が進める国連の移民協定締結に反対し、N-VAは連立政権を離脱しました。この離脱によってミシェル政権は過半数を失い、政権崩壊へと繋がりました。

N-VAは、フラマン地域の自治権拡大、そしてベルギーにおけるフラマン人の地位向上を強く訴える政党です。その強硬な姿勢は、ベルギーの政治状況に大きな影響を与え続けています。今後、N-VAがベルギー政治においてどのような役割を果たしていくのか、注目が集まります。彼らの政策、特に移民問題への対応は、今後のベルギー社会のあり方にも大きく関わってくるでしょう。また、王制に対する批判的な姿勢も、ベルギーの政治制度改革への影響を与える可能性があります。N-VAの動向は、今後ベルギー政治の行方を占う上で重要な鍵となるでしょう。

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