フリオ・デリー・バルデス

フリオ・デリー・バルデス：パナマの英雄、その軌跡

フリオ・セサル・デリー・バルデス（Julio César Dely Valdés, 1967年3月12日 - ）。パナマが生んだ、傑出したフォワードとして知られています。フリオ・デリー・バルデスのキャリアは、カリブ海の小さなクラブから始まり、ヨーロッパのトップリーグで得点王争いを繰り広げるまでに至りました。

パナマ代表としては、目覚ましい国際的な成功を収めたとは言えませんが、20年以上にわたる選手生活において、大きな怪我に見舞われることなく、常に高いレベルでプレーし続け、得点を量産しました。その実績は、パナマのサッカーファンに深く刻まれています。

また、Jリーグで長年活躍したホルヘ・デリー・バルデスは双子の兄であり、長兄のアルマンドもプロサッカー選手として活躍した、サッカー一家に育ちました。

躍進の始まり

15歳で地元のクラブでデビューを果たした後、1989年にアルゼンチンに渡り、4部リーグで1シーズンプレーしました。33試合で28得点という目覚ましい記録を残し、その才能を開花させました。翌シーズンには、ウルグアイの強豪、ナシオナル・モンテビデオに引き抜かれ、4シーズンで89試合に出場し、110得点を記録。1992年にはリーグ優勝に大きく貢献し、自身も得点王に輝きました。

ヨーロッパでの挑戦

1993年、フリオ・デリー・バルデスはイタリアのカリアリへ移籍し、主力として2シーズンを過ごしました。その後、1995年にフランスの名門、パリ・サンジェルマンFCへ移籍。ジョージ・ウェアの後釜として期待に応え、翌年のUEFAカップウィナーズカップ優勝に貢献しました。

1997年、30歳でスペインのレアル・オビエドに移籍。チームは2部降格の危機に瀕しましたが、フリオ・デリー・バルデスの得点によって、辛くも降格を免れました。その後も残留争いを続けるオビエドで、彼は重要な役割を果たし続けました。

2000年には、マラガCFへ移籍。ここでは、ウルグアイ人フォワードのダリオ・シルバとの「ダブルD」コンビで、ゴールを量産しました。30代半ばという年齢を感じさせないプレーで、レアル・マドリードなどの強豪クラブを相手に得点を挙げるなど、ジャイアントキリングを演じ、人気を集めました。

代表での活躍と指導者としての道

2003年に古巣のナシオナルでプレーした後、故郷パナマに戻り、2005年にはパナマ代表として、兄ホルヘと共に2005 CONCACAFゴールドカップに出場。決勝でアメリカに敗れたものの、準優勝を果たしました。これは、2010年現在、パナマ代表にとって国際舞台での過去最高の成績となっています。

また、この大会では、兄ホルヘと共に共同でパナマ代表監督代行を務めました。

2006年に現役を引退後、指導者としてのキャリアをスタートさせ、兄ホルヘと共に、カナダで開催された2007 FIFA U-20ワールドカップのパナマユース代表を指導しました。

2010年9月には、サッカーパナマ代表監督に就任。2014 FIFAワールドカップ・北中米カリブ海3次予選では、最終節まで大陸間プレーオフ進出の可能性を残しましたが、アメリカに逆転負けを喫し、ワールドカップ初出場はなりませんでした。

フリオ・デリー・バルデスは、選手として、そして指導者として、パナマサッカー界に多大な貢献を果たした、まさに英雄と呼ぶにふさわしい存在です。

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