フリッツ・クリムシュ

フリッツ・クリムシュの生涯

フリッツ・クリムシュ（Fritz Klimsch, 1870年2月10日 - 1960年3月30日）は、ドイツの彫刻家として知られています。彼はフランクフルト・アム・マインで生まれ、芸術家の家系に育ちました。祖父は版画家であり、父や叔父、そして兄たちも画家として活動していました。

クリムシュはベルリンの美術アカデミーで彫刻家フリッツ・シャーパーに師事し、1892年から1900年の間はローマの芸術家が集まるヴィラ・ストロール=フェルンに滞在し、研鑽を積みました。1898年には、ヴァルター・ライスティコフやマックス・リーバーマンらとともにベルリン分離派の設立メンバーとなり、新たな芸術運動を推進しました。1912年にはプロイセン芸術アカデミーの会員に選出され、1916年には理事に就任しています。また、1921年から1935年まではベルリンの美術学校で教鞭を執りました。

ヴァイマル共和政時代には、クリムシュはドイツで最も著名な彫刻家の一人として評価されました。しかし、ナチスが権力を握ると、彼はその影響下で活動することになります。ナチス政権下のドイツ国民啓蒙・宣伝省が作成した「重要芸術家リスト」に登録され、1940年にはヒトラーが創設した「ゲーテ・芸術科学メダル」を受賞しました。このことは、彼の芸術家としての名声に影を落とすことになります。

第二次世界大戦後、クリムシュは家族とオーストリアのザルツブルクに移住しますが、1946年にナチスの協力者として国外追放処分を受け、ミュンヘンを経てフライブルクへと移りました。さらに、1955年には西ベルリンに再建された芸術アカデミーの会員からも除外されました。晩年の1960年には、90歳を迎えた際にバーデン＝ヴュルテンベルク州の首相からドイツ連邦共和国功労勲章が授与されましたが、その年にフライブルクで亡くなっています。

作品と評価

クリムシュの作品は、写実的でありながらも力強く、生命力に満ちた人物像が特徴です。彼は主にブロンズや大理石を用いて、女性の裸像や肖像彫刻を制作しました。彼の作品は、その卓越した技術力と芸術性によって、国内外で高い評価を受けています。

まとめ

フリッツ・クリムシュは、ドイツ近代彫刻史において重要な役割を果たした芸術家です。彼の作品は、その芸術的な価値だけでなく、当時の社会状況や政治的な背景を反映する貴重な資料としても評価されています。しかし、ナチス政権下での活動は、彼の評価を複雑なものにしています。彼の生涯は、芸術と政治の関係を深く考えさせるものであり、歴史を学ぶ上で重要な教訓を与えてくれます。

参考文献

Hermann Braun: Fritz Klimsch. Eine Dokumentation. VAN HAM Art Publications, Köln, ISBN 3-9802780-0-X.
Hermann Braun: Fritz Klimsch. Werke. ISBN 3-922612-00-8
Robert Thoms: Große Deutsche Kunstausstellung München 1937–1944. Verzeichnis der Künstler in zwei Bänden, Band II: Bildhauer. Berlin 2011, ISBN 978-3-937294-02-5.
Florian Hufnagl: Klimsch, Fritz. In: Neue Deutsche Biographie (NDB). Band 12, Duncker & Humblot, Berlin 1980, ISBN 3-428-00193-1, S. 69 f. (Digitalisat).
Uli Klimsch: Fritz Klimsch, Die Welt des Bildhauers. Berlin 1938.
Fritz Klimsch. In: Hans Vollmer (Hrsg.): Allgemeines Lexikon der Bildenden Künstler von der Antike bis zur Gegenwart. Begründet von Ulrich Thieme und Felix Becker. Band 20: Kaufmann–Knilling. E. A. Seemann, Leipzig 1927, S. 502.
* Klimsch, Fritz In: Hans Vollmer (Hrsg.): Allgemeines Lexikon der Bildenden Künstler des XX. Jahrhunderts. Sechster Band (Nachträge H-Z), E. A. Seemann, Leipzig 1999 (Studienausgabe). ISBN 3-363-00730-2 (S. 146f)

もう一度検索