フリップ・フィリップス

フリップ・フィリップス：生涯を音楽に捧げたジャズ・テナーサックス奏者

フリップ・フィリップス（Flip Phillips、1915年3月26日 - 2001年8月17日）は、アメリカが生んだ卓越したジャズ・テナー・サックス奏者であり、クラリネット奏者としてもその才能を発揮しました。彼の名は、1946年から1957年までノーマン・グランツが主催した伝説的なコンサート・シリーズ「ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック（JATP）」での輝かしい演奏によって、ジャズ史に深く刻まれています。

多彩な音楽性とキャリア

フィリップスの音楽性は、メインストリーム・ジャズ、スウィング・ジャズ、ジャンプ・ブルースなど、多岐にわたりました。1930年代には、ニューヨーク、ブルックリンのレストランでクラリネットを演奏する活動をスタートさせ、その後、フランキー・ニュートン、レッド・ノーヴォ、ベニー・グッドマン、ウィンギー・マノンといった著名なミュージシャンたちのバンドに参加し、その腕を磨きました。1940年代半ばには、ウディ・ハーマン楽団のレギュラー・ソリストとして活躍し、その才能を広く知らしめました。

ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニックでの活躍

ウディ・ハーマン楽団での成功に続き、フィリップスは「ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック」に参加し、10年間にわたり精力的に演奏しました。JATPでの彼の演奏は、その情熱的でエネルギッシュなスタイルで多くのファンを魅了し、彼の代表的な業績として語り継がれています。

晩年の活躍と遺産

一時フロリダに引退したものの、15年後には音楽活動を再開し、再びレコーディングを行うなど、精力的な活動を続けました。80代を迎えてもなお、その演奏は衰えることなく、聴衆を魅了し続けました。2001年8月、フロリダ州フォートローダーデールにて86歳で永眠。

ディスコグラフィー

フィリップスは、クレフ・レコードを中心に多数のアルバムをリリースしました。自身のリーダーアルバムだけでなく、ビリー・ホリデイのアルバム『ビリー・ホリデイ・シングス』など、数多くの作品に参加しています。

代表的なリーダー・アルバム

『コレイツ』 - Flip Phillips Collates (1952年)
『フリップ・フィリップス・クァルテット』 - Flip Phillips Quartet (1953年)
『フリップ』 - Flip (1956年)
『スウィンギン・ウィズ・フリップ』 - Swingin' with Flip Phillips and His Orchestra (1956年)
『リアル・スウィンガー』 - A Real Swinger (1988年)
『スウィング・イズ・ザ・シング!』 - Swing Is the Thing! (2000年)

参加アルバム

ジョニー・ホッジス - In a Tender Mood (1955年)
ジーン・クルーパ & バディ・リッチ - The Drum Battle (1960年)
* チャーリー・パーカー - Big Band (1954年)

フリップ・フィリップスの音楽は、時代を超えて多くの人々に愛され続けています。彼の情熱的で創造性にあふれる演奏は、これからもジャズの歴史の中で輝き続けるでしょう。

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