フリヴニャ

フリヴニャ：ウクライナの通貨の歴史と現在

フリヴニャはウクライナの公式通貨です。国際通貨コードはUAH、ウクライナ語略称はгрн.(hrn.)で、補助単位は1フリヴニャ＝100コピーカのコピーカです。通貨記号はキリル文字「Г」をアレンジした「₴」です。

名称の由来と歴史

フリヴニャという名称は、古くは11世紀のキエフ大公国で使われていた通貨「グリヴナ」に由来します。これはルーシ全土で使われていたとされ、スラヴ語のgriva（馬のたてがみ）から派生したと考えられています。しかし、語源を辿ると印欧祖語の「首」を意味する語にまで遡ることができ、首元に身につける金銀の装飾品、そして一定量の金塊や銀塊を表すようになったと考えられています。当時、ノガタ（大型動物の毛皮）、クナ（小型動物の毛皮）、ヴェクシャ（リスの毛皮）といった補助単位も存在しました。

ロシア帝国時代はルーブルが使用されましたが、ウクライナでは「カルボーヴァネツィ」と呼ばれていました。その後、ズロトニクなどの帝国共通単位も用いられるようになりました。

ウクライナ内戦期（1917年～1921年）は、通貨制度が大きく変動しました。ウクライナ人民共和国では、まずカルボーヴァネツィが採用されましたが、ソ連との戦争や政権交代の中で、クピュラや、再びフリヴニャが通貨単位として採用されたり廃止されたりを繰り返しました。この混乱期には、ドイツで造幣されたフリヴニャ紙幣も発行されました。

ソ連時代には、ソ連ルーブルが使用され、ウクライナ独自のフリヴニャは事実上姿を消しました。しかし、ナチス・ドイツ占領下の1941年から1944年には、一時的にカルボーヴァネツィが使用されました。

ウクライナの独立後（1991年）、再びカルボーヴァネツィ（クポーン）が使用されましたが、深刻なインフレにより1996年にフリヴニャへの転換が行われました。10万カルボーヴァネツィが1フリヴニャに換算されるデノミネーションが実施されました。補助単位にはコピーカが用いられましたが、ウクライナ独自のシャーフを採用する動きもありましたが、実現には至りませんでした。フリヴニャの通貨記号「₴」は2003年の公募で決定されました。2004年には、ウクライナ国立銀行がフリヴニャの正式名称を「гривня (hryvnia)」に定めました。

紙幣と硬貨

現在流通しているのは第4版の紙幣（20、50、100、200、500、1000フリヴニャ）と硬貨（10、50コピーカ、1、2、5、10フリヴニャ）です。しかし、紙幣には複数のバージョンが存在し、古い紙幣は敬遠される傾向があります。また、低額硬貨の流通停止も進んでおり、1、2、5コピーカ硬貨は2022年9月末で完全に失効しています。1、2、5、10フリヴニャ紙幣も流通停止となっています。

記念硬貨も発行されていますが、額面は主に1フリヴニャです。

まとめ

フリヴニャは、ウクライナの長い歴史と幾多の困難を反映した通貨です。その名称の由来や歴史的変遷を理解することは、ウクライナの経済状況や政治情勢を理解する上で重要な要素となります。現在もウクライナの経済を支えるフリヴニャは、これからもウクライナの人々の生活に深く関わっていくことでしょう。

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