フリークス (映画)

映画『フリークス』の概要と詳細

『フリークス』は1932年に公開されたアメリカ映画で、トッド・ブラウニングが監督を務めました。作品は、旅回りの見世物小屋を舞台にし、実際の見世物小屋の出演者、つまり本物の障害者や奇形者たちが登場することで知られています。この映画は当時の観客に強烈なインパクトを与え、批評家からの賛否が分かれました。特に、登場人物たちの生き様や、彼らの人間性に対する描写は多くの人々に衝撃を与えました。

公開当初『フリークス』は賛否が分かる作品であり、トッド・ブラウニングはこの映画以降、制作活動に苦しむことになります。結果として、彼のキャリアは大きく影響を受けました。特にイギリスでは、公開から30年の間、上映が禁止されるという事態に至りました。日本では、1932年11月に『怪物團』というタイトルで初めて公開された後、2005年にはデジタルリマスター版がリバイバル上映され、再評価されるきっかけとなりました。また、1994年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録され、現在もアメリカ議会図書館にて保存されています。

ストーリーの詳細

映画のストーリーは、フランスの曲馬団に所属する小人のハンスを中心に展開します。ハンスは、同じく小人の曲芸師フリーダと婚約していますが、美しい軽業師のクレオパトラに心を惹かれます。クレオパトラはハンスの親戚からの大きな遺産を狙い、彼を誘惑します。この誘惑に乗ったハンスは、彼女との結婚を決意します。一方、婚約者のフリーダは失意の中で、彼女の心配をする一座の仲間たちフロゾとヴィーナスに慰められます。

実は、クレオパトラは一座の怪力男ヘラクレスと密かに関係を持っており、結婚式後にハンスを毒殺する計画を立てています。結婚式の祝宴で、クレオパトラはハンスや見世物仲間に対して侮辱的な発言をし、ハンスは彼女の真意に気づきます。自らが侮辱されたこと、そして毒殺計画を知った仲間たちは、クレオパトラに制裁を加える決断をします。

その後、ハンスは曲馬団から離れ、裕福になったものの、フリーダへの罪の意識と失意に覆われた生活を続けます。しかし、フリーダは彼を許し、二人は再び結ばれることになります。一方で、クレオパトラは彼女自身に待ち受ける恐ろしい運命に直面します。

主なキャストの紹介

この映画には多彩なキャストが登場し、それぞれが個性的な役柄を演じています。特に、フロゾ役のウォーレス・フォード、ヴィーナス役のリーラ・ハイアムス、ハンス役のハリー・アールス、フリーダ役のデイジー・アールスなどが目を引きます。また、クレオパトラを演じたオルガ・バクラノヴァは、観客に強烈な印象を残します。その他にも、ヘラクレス役のヘンリー・ヴィクターや、様々な奇形を持つキャラクターたちが登場し、映画に深みを与えています。

『フリークス』は、ただの見世物映画ではなく、人間の本質や愛、裏切り、復讐など、多くのテーマを内包した作品として、現代の観客にも新たな視点を与え続けています。

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