フリースタイル (ラップ)

フリースタイルラップとは

フリースタイルラップは、即興でリリックを紡ぐラップスタイルです。元々は、特定のテーマや構成にとらわれず、自由に言葉を操るスタイルを指していました。しかし、時が経つにつれて、即興でラップを行うことを指す言葉として広く使われるようになりました。

フリースタイルラップは、楽器の演奏に合わせて行われることもあれば、アカペラで行われることもあります。ジャズなどの即興演奏と同様に、リードするラッパーが即興でリリックを紡ぎ、他の参加者がビートを刻んで合わせる形式が一般的です。

フリースタイルラップの定義の変遷

初期のフリースタイルラップは、テーマを決めずに自由にリリックを表現するものでした。ビッグ・ダディ・ケインは、「80年代には、フリースタイルとは、書くライムのスタイルが自由であることを意味していた」と述べています。マイカ9も、「当時は、フリースタイルとはでたらめな内容をライムに乗せることで、事前に書いたり覚えたりするものではなかった」と語っています。

しかし、1990年代初頭から、フリースタイル・フェローシップのようなグループが即興ラップを広めたことで、「フリースタイル」は、その場で即興で作るリリックを指す言葉として定着しました。この変化について、クール・モー・ディーは「1980年代の中頃から末くらいのどこかの時点で起こった」と述べています。

フリースタイルラップの種類

フリースタイルラップには、以下のような種類があります。

即興フリースタイル：その場で即興でリリックを紡ぐスタイル。現在のフリースタイルラップの主流。
MCバトル：2人以上のラッパーが、即興のリリックを使って互いを批判し合う形式。ヒップホップ文化において重要な位置を占める。
* サイファー：ラッパー、ヒューマンビートボクサー、ブレイクダンサーなどが集まって行うジャムセッション。フリースタイルバトルが行われることもある。

フリースタイルラップの実践方法

フリースタイルラップは、多くのラッパーがラップを習得する上での練習方法として用いられています。会話をフリースタイルで行ったり、ライムを使ったゲームで遊んだりすることで、即興でリリックを紡ぐ能力を鍛えます。

フリースタイルラップを行う目的は様々で、楽しみのため、癒やしのため、ラップのスキルアップのため、自己アピールのため、芸域を広げるため、スピリチュアルな目的のためなどがあります。ライブで観客を楽しませるために行われることもあれば、失敗を誤魔化すために行われることもあります。

フリースタイルラップの日本語ラップにおける展開

2010年代半ば頃から、日本でもフリースタイルラップがメディアに取り上げられる機会が増え、ブームが起こりました。『BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権』や『フリースタイルダンジョン』といった番組が、フリースタイルラップを一般層に広めるきっかけとなりました。また、2017年頃からは、日本語フリースタイルラップを扱った漫画も登場しています。

まとめ

フリースタイルラップは、即興でリリックを紡ぐラップスタイルであり、その定義や実践方法は時代とともに変化してきました。現在では、即興のラップを指す言葉として広く使われており、ヒップホップ文化において重要な役割を果たしています。

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