フリードリヒ8世・フォン・シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン

フリードリヒ8世の生涯と公爵権

フリードリヒ8世（Herzog Friedrich VIII. von Schleswig-Holstein、1829年7月6日 - 1880年1月14日）は、ドイツ＝デンマーク系のシュレースヴィヒ＝ホルシュタン＝ゾンダーブルク＝アウグステンブルク公爵家に属し、1869年から1880年までの間、公爵の地位を保持していました。彼のデンマーク語名は、フレゼリク・クリスチャン・アウグスト・ア・スレースヴィー＝ホルステン＝スナボー＝アウグステンボーです。

公爵位の請求と承認の歴史

フリードリヒは1863年からシュレースヴィヒ公国とホルシュタイン公国の公爵位の請求者となりますが、1866年にはプロイセン王国にこれらの公国が併合され、以降彼の公爵位は認められなくなります。フリードリヒは自身の公爵位が、ドイツ連邦およびシュレースヴィヒ、ホルシュタインにおいて一般的に認められていると主張していましたが、実際にはプロイセンとデンマークの両政府によって無視される結果となりました。

家族背景と幼少期

フリードリヒはアウグステンボー公クリスチャン・アウグスト2世とルイーセ・ダンネスキョルの間に生まれました。彼の老いた兄が幼少期に亡くなったため、実質的にフリードリヒが公爵家の後継者として役割を果たすことになりました。デンマーク王家の血を引く家系である彼は、王位継承者として期待されていましたが、その運命は周囲の政治状況から大きく影響を受けることとなります。

戦争と追放

フリードリヒは第一次シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン戦争において、父や弟と共にドイツ側に参加しました。この戦争の結果、アウグステンボー家はデンマークから追放され、財産も喪失しました。父は1852年にシュレースヴィヒ＝ホルシュタインの公爵位に対する権利を放棄し、フリードリヒはその名誉を取り戻すべく更なる戦いを続けることになります。

複雑な公爵位の継承問題

1863年、デンマーク王フレゼリク7世が死去すると、リュクスボー家のクリスチャン9世が王位を継承しました。一方、フリードリヒは自らがシュレースヴィヒとホルシュタインの公爵位を継承する正統な権利を持つと主張し、「シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公フリードリヒ8世」を名乗りました。この状況の中、支援を誓うドイツ系住民が彼を支持しましたが、オーストリアとプロイセン政府は彼の王位の資格を無効とし、その結果フリードリヒは孤立することになります。

戦争の結果とその後

1864年の第二次シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン戦争では、オーストリアとプロイセンの連合軍が勝利を収めました。ウィーン講和条約によって、デンマーク王クリスチャン9世はシュレースヴィヒやホルシュタインなどの領地をプロイセンとオーストリアに譲渡しなければならなくなりました。この結果、フリードリヒは公爵位を失うこととなり、その後はゴータで私人として生活を送りました。

結婚と子女

フリードリヒ8世は1856年にホーエンローエ＝ランゲンブルク侯エルンスト1世の娘アーデルハイトと結婚し、7人の子供をもうけました。子女の一人、アウグステ・ヴィクトリアは大叔母ヴィクトリア女王の孫であるドイツ皇帝ヴィルヘルム2世と婚姻関係を結ぶことになります。この結婚は、プロイセン王国における地位の補償ともなり、両家にとって歓迎される結果となりました。

フリードリヒ8世の生涯は、王位継承や公爵権を巡る複雑な政治的背景のもとで展開されました。彼の死後、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン公爵家はその名誉を取り戻すことはありませんでしたが、彼の子供たちはそれぞれ異なる形で歴史に足跡を残しています。

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