フルハウス (航空機)

フルハウス：広島・長崎への原爆投下作戦に関与したB-29戦略爆撃機

フルハウス(Full House)は、第二次世界大戦末期から冷戦初期にかけて、アメリカ陸軍航空軍第509混成部隊に所属したB-29スーパーフォートレス戦略爆撃機です。機体番号は44-27298、ビクターナンバーは83でした。特徴的なノーズアートには、簡易トイレから蹴り出される日本兵が描かれていました。機長はラルフ・R・テーラー大尉が務めました。

フルハウスは、原子爆弾を搭載するために「シルバープレート」と呼ばれる特殊な改修を施された15機のB-29の1機でした。この改修は、原子爆弾の搭載と投下を可能にするために必要な構造的および電気系統の変更を含んでいました。

1945年8月6日、アメリカ軍は広島市に原子爆弾を投下しました。この作戦には7機のシルバープレートB-29が使用されましたが、フルハウスは長崎市上空の天候偵察任務に就きました。この偵察により、長崎への原子爆弾投下作戦の成功に貢献したと考えられます。

そして8月9日、アメリカ軍は長崎市に原子爆弾を投下しました。この際、フルハウスは、原爆搭載機「ボックスカー」の万一の事態に備えた予備機として、硫黄島に待機していました。これは、作戦の成功に不可欠なバックアップ体制の一環でした。

フルハウスの乗組員は9名で構成されていました。

機長：ラルフ・R・テーラーJr.大尉
副操縦士：レイモンド・P・ビエル
航法士：フレッド・A・ホイ
爆撃士：マイケル・アンジェリック
航空機関士：フランク・M・ブリース
無線通信士：セオドア・M・スライフ
レーダー担当士：ナサニエル・T・R・バーグウィン
銃座担当士 兼 副航空機関士：リチャード・B・アンセルム
* 後部銃座担当士：ロバート・J・バレー

フルハウスは、広島と長崎への原子爆弾投下という歴史的事件に深く関与したB-29です。その機体番号、ノーズアート、乗組員、そして作戦における役割は、第二次世界大戦と冷戦初期の歴史を理解する上で重要な要素となっています。機体のノーズアートの写真は、当時の状況を伝える貴重な資料として残されています。現在、フルハウスに関する情報は、歴史資料館や軍事史研究において重要な役割を果たしています。フルハウスは、戦争の悲劇と技術革新が複雑に絡み合った時代の象徴的な存在と言えるでしょう。

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