第509混成部隊

第509混成部隊：広島・長崎への原爆投下と、その影

第二次世界大戦末期の1944年12月、アメリカ合衆国大統領フランクリン・D・ルーズベルトの命令により、第20空軍傘下に第509混成部隊（509th Composite Group）が設立されました。この部隊の極秘任務、それは日本への原子爆弾投下でした。この事実、兵士たちには作戦当日まで知らされませんでした。

部隊編成と訓練

陸軍、海軍、陸軍航空隊から精鋭が集められたこの部隊は、総勢1767名。指揮官にはポール・ティベッツ大佐が任命され、14機の戦略爆撃機B-29を率いました。部隊はまずユタ州の砂漠基地で厳しい訓練を開始。1945年5月には、太平洋のマリアナ諸島テニアン島へ移動し、本格的な作戦準備に入ります。グアムも候補地として検討されましたが、ティベッツ大佐がテニアン島の優れた滑走路を主張したことで、最終的にテニアン島が選ばれました。

原爆投下任務への揺らぎと決意

作戦開始直前、第509混成部隊を原爆任務から外して他の部隊に編入する案が浮上しました。しかし、ティベッツ大佐は、カーティス・ルメイ将軍を説得。自身による最初の原爆投下を熱望し、部隊の維持を勝ち取りました。同年7月20日には、東京への爆撃訓練を実施。これは、日本人に単機による高高度からの爆撃に慣れさせるための作戦でした。広島、京都、小倉は原爆投下の標的であったため爆撃が禁止されましたが、それ以外の地域は自由に爆撃が行われました。

徹底した訓練と模擬爆撃

部隊はテニアン島を拠点に、模擬原爆（パンプキン爆弾）を用いた徹底的な演習を繰り返し行いました。そして、1945年8月6日、広島市への、8月9日には長崎市への原子爆弾投下という、歴史の転換点を迎えます。この任務により、第509混成部隊は戦略核攻撃任務を完了しました。

主要人物と所属機

部隊の指揮官であるティベッツ大佐をはじめ、エノラ・ゲイの操縦を担当したティベッツ大佐自身、ストレートフラッシュを操縦したクロード・イーザリー、ボックスカーを操縦したチャールズ・スウィーニーなど、多くのパイロットや乗組員が歴史に名を残しました。

現在の第509爆撃航空団

現在、アメリカ空軍には「第509爆撃航空団(509th Bomb Wing)」が存在します。1993年に設立されたこの部隊は、B-2爆撃機を運用する戦略爆撃部隊であり、初代第509混成部隊とは直接的な継承関係はありません。興味深いことに、ポール・ティベッツ大佐の孫が現在この部隊に所属していると言われています。

結論

第509混成部隊は、その秘密裏の任務と歴史的意義から、第二次世界大戦における最も重要な部隊の一つとして記憶されています。彼らの行動は、世界の歴史に大きな影響を与え、現在に至るまで様々な議論や考察の対象となっています。その功績と責任、そして歴史的背景を理解することは、未来への教訓となるでしょう。

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