フルムーン夫婦グリーンパス

フルムーン夫婦グリーンパスとは

フルムーン夫婦グリーンパスは、かつてJRグループが販売していた、熟年夫婦を対象とした特別企画乗車券です。夫婦二人の年齢を合計した年齢が88歳以上であることが条件で、JR全線の新幹線を含むグリーン車が乗り放題になるという、大変お得な切符でした。この切符の登場により、中高年夫婦の旅行は「フルムーン旅行」と呼ばれることもあります。

特徴

この切符は、国鉄時代の1981年に発売が開始されました。JRグループの全線（一部例外あり）のグリーン車、普通車指定席、普通車自由席などを利用することができました。夫婦でゆったりと列車の旅を楽しむことができるため、長年にわたり人気を集めていました。

利用できる設備は多岐にわたり、グリーン車だけでなく、普通車の指定席・自由席、立席、開放型B寝台、B寝台2人用個室「デュエット」も利用可能でした。また、宮島航路も利用可能でした。

ただし、いくつかの制約もありました。東海道・山陽・九州新幹線の「のぞみ」「みずほ」は、自由席を含めて利用できませんでした。また、グリーン個室、グランクラス、プレミアムグリーン車、DXグリーン席、特急「36ぷらす3」の全座席、A寝台、「デュエット」以外の個室B寝台を利用する場合は、運賃のみが有効となり、特急・急行料金やグリーン料金、寝台料金などは別途支払う必要がありました。

青い森鉄道の一部の区間においては、通過利用に限り特例が適用され、別途乗車券が不要となる区間もありました。

2015年3月14日の北陸新幹線開業以降は、「かがやき」「はくたか」「つるぎ」のグリーン車および普通車も利用できるようになりました。

しかし、2022年度の発売はなく、事実上廃止となったことが報道され、多くのファンから惜しまれています。

利用条件

フルムーン夫婦グリーンパスを利用するには、いくつかの条件がありました。

夫婦二人の年齢の合計が88歳以上であること
同一行程で旅行すること

法律婚でなくても、事実婚の夫婦でも利用可能でした。しかし、同性カップルの場合は、自治体が発行するパートナーシップ証明書があっても利用できませんでした（2022年6月時点）。

発売・利用期間

毎年秋から翌年の春にかけて発売されていました。発売期間は9月1日から翌年の5月31日まで、利用期間は10月1日から翌年の6月30日まででした。ただし、年末年始やゴールデンウィークなど、一部利用できない期間もありました。

切符の種類と発売額

有効期間に応じて、5日間用、7日間用、12日間用の3種類がありました。夫婦のどちらかが70歳以上の場合は「フルムーンシルバー」となり、割引が適用されました。

使用できない例

JR線以外の鉄道会社線（第三セクター鉄道など）では、別途乗車券が必要となる場合がありました。

CMキャラクター

過去には、上原謙&高峰三枝子、二谷英明&白川由美、加山雄三&松本めぐみなどがCMキャラクターを務め、切符のPRに貢献しました。

まとめ

フルムーン夫婦グリーンパスは、熟年夫婦にとって大変魅力的な切符でした。残念ながら現在では発売されていませんが、そのコンセプトは、今後の旅行商品にも受け継がれていくことが期待されます。夫婦でゆっくりと列車の旅を楽しみたいというニーズは、今後も変わることはないでしょう。

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