フルヴィオ・ルチザーノ

フルヴィオ・ルチザーノは、イタリア映画界において多大な影響力を持つ著名な映画プロデューサーです。1928年8月1日、イタリアの首都ローマで生を受けました。彼のキャリアは非常に長く、特に自身の設立した映画製作・配給会社「イタリアン・インターナショナル・フィルム」（Italian International Film、略称IIF）を通じて、数多くの作品を世に送り出してきました。

若くしてその才覚を示し、わずか23歳であった1951年には、ジュリオ・モレッリ監督による『百人のちいさな母』（Cento piccole mamme）でプロデューサーとしての第一歩を踏み出しました。この作品は日本未公開ですが、これを皮切りに、ルチザーノは半世紀以上にわたる活動の中で、実に500本を超える映画の製作および配給を手がけることになります。その膨大な作品リストは、イタリア映画の多様な歴史を映し出しており、彼が業界の発展に果たした役割の大きさを物語っています。長年にわたり第一線で活躍し続け、高齢になってもなお現役のプロデューサーとして精力的に活動を続けている点は特筆すべきでしょう。

プロデューサーとしての顔が広く知られていますが、キャリアの中でただ一度だけ、監督としてメガホンを取った経験があります。それは1963年に製作されたドキュメンタリー映画『Processo a Stalin』であり、レナート・マイと共同で監督を務めました。この作品も、自身の設立したIIFによって製作されました。

フルヴィオ・ルチザーノが製作または配給に携わったおもな作品群は以下の通りです。

百人のちいさな母（Cento piccole mamme）- 1951年。監督・原案・脚本：ジュリオ・モレッリ。プロデューサーとしての最初の作品。
戦闘（La Guerra continua）- 1962年。監督：レオポルド・サヴォーナ。主演：ジャック・パランス、ジョヴァンナ・ラリ、セルジュ・レジアニ。戦争ドラマ。
バンパイアの惑星（Terrore nello spazio）- 1965年。監督・脚本：マリオ・バーヴァ。サイエンス・フィクション・ホラーの古典。
ネブラスカの一匹狼（Ringo del Nebraska）- 1967年。監督・脚本：アントニオ・ロマン。主演：ケン・クラーク、ピーター・カーター。マカロニ・ウェスタン作品。
ナイトチャイルド（Il medaglione insanguinato）- 1975年。監督・脚本：マッシモ・ダラマーノ。主演：リチャード・ジョンソン、ニコレッタ・エルミ。ホラー映画。
死海からの脱出（La notte degli squali）- 1987年。監督・原案：トニーノ・リッチ。主演：トリート・ウィリアムズ。アクション・スリラー。
インクアイリー 審問（L'inchiesta）- 1987年。監督・脚本：ダミアーノ・ダミアーニ。主演：キース・キャラダイン、ハーヴェイ・カイテル。歴史ドラマ。
トスカニーニ（Il Giovane Toscanini）- 1988年。監督・脚本：フランコ・ゼフィレッリ。主演：C・トーマス・ハウエル、エリザベス・テイラー。指揮者アルトゥーロ・トスカニーニの若き日を描く。
ムーンリットナイト（In una notte di chiaro di luna）- 1989年。監督・脚本：リナ・ウェルトミューラー。主演：ルトガー・ハウアー、ナスターシャ・キンスキー、ピーター・オトゥール、フェイ・ダナウェイ。国際色豊かなキャストによるドラマ。
かぼちゃ大王（Il grande cocomero）- 1993年。監督・脚本：フランチェスカ・アルキブジ。イタリア国内で評価の高い作品。
* ぼくの名犬テンペスト（Il destino ha 4 zampe）- 2001年。監督：ティジアナ・アリスタルコ。主演：リノ・バンフィ。動物が登場する作品。

フルヴィオ・ルチザーノは、IIFを拠点に商業的な成功を収めた作品から、芸術性の高い作品まで幅広く手がけ、イタリア映画産業においてプロデューサーという立場の重要性を示すとともに、多くの才能を支え続けてきました。彼の長いキャリアと多岐にわたる作品群は、イタリア映画史において欠かせない存在であることを証明しています。

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