フレイミング・ダート作戦

フレイミング・ダート作戦：ベトナム戦争における報復爆撃

フレイミング・ダート作戦は、ベトナム戦争中にアメリカ軍と南ベトナム空軍が共同で行った軍事作戦であり、主に北ベトナムに対する一連の報復爆撃として知られています。この作戦は二度に分けて実施され、その背景には、アメリカ軍基地への攻撃に対するアメリカ政府の強い反発がありました。

作戦の経緯

1965年2月、リンドン・ジョンソン大統領は、ベトコンによるプレイク飛行場への迫撃砲攻撃（プレイク飛行場の戦い）を始めとする、米軍施設への相次ぐ攻撃に対し、報復措置としてフレイミング・ダート作戦を発動しました。プレイク飛行場攻撃では、ベトコンの工兵部隊が爆薬を使用し、キャンプ・ハロウェイに駐機されていた多数の航空機を破壊、または損傷させるという大きな被害を出しました。

フレイミング・ダート一号作戦

1965年2月7日、フレイミング・ダート一号作戦が開始され、49ソーティーが出撃しました。第一波はドンホイ近郊に位置する北ベトナム軍の拠点を、第二波は軍事境界線付近のベトコンの補給路と通信網を標的としました。この作戦には、後に南ベトナムの軍事政権で重要な役割を果たすグエン・カオ・キもパイロットとして参加しています。

フレイミング・ダート二号作戦

フレイミング・ダート一号作戦に対するベトコンの報復として、アメリカ人が滞在するホテルが攻撃される事件が発生し、これがフレイミング・ダート二号作戦の引き金となりました。アメリカ海軍は空母ハンコック、コーラル・シー、レンジャーから99機の戦闘爆撃機を発進させ、チャンホアを爆撃しました。同時に、南ベトナム空軍とアメリカ空軍はチャプレを攻撃し、南ベトナム空軍はA-1 スカイレイダーを、アメリカ空軍はF-100 スーパーセイバーを使用しました。アメリカ軍は以前からファームゲート戦術を通じて南ベトナム軍と共に航空戦に参加していましたが、アメリカ空軍によるジェット戦闘機の使用は、戦争をエスカレートさせる要因となりました。

戦争の激化

アメリカ国内における共産主義への反発は強まり、北ベトナムに対する空爆だけでは収まらず、ワシントンは航空戦力の使用をさらに拡大させました。南ベトナムにおいても、ジェット攻撃機による敵との交戦が許可され、1965年2月19日には、アメリカ空軍のB-57キャンベラが南ベトナム軍の地上部隊を支援するために、初のジェット機による空爆を実施しました。さらに2月24日には、中部高原で待ち伏せしていた北ベトナム軍を分断するため、大規模な空爆が再び行われました。これは、アメリカ軍による航空戦力の使用が激化したことを示すものでした。

ローリング・サンダー作戦への移行とその後

フレイミング・ダート作戦の後、1965年3月2日からは、44ヶ月にわたるローリング・サンダー作戦が開始されました。この作戦は、北ベトナムに対する継続的な爆撃を目的としており、アメリカ軍による航空作戦は、ベトナム戦争終結まで継続されました。終戦までにアメリカ軍が投下した爆弾の総量は766万2000トンに達し、これは歴史的に見ても非常に大規模なものでした。

まとめ

フレイミング・ダート作戦は、ベトナム戦争におけるアメリカの軍事介入をエスカレートさせる一因となりました。報復爆撃という形で行われたこの作戦は、その後のローリング・サンダー作戦へと繋がり、アメリカ軍による大規模な航空作戦の時代を開くことになったのです。

関連項目

* バトルフィールド ベトナム - ベトナム戦争を題材としたシューティングゲーム。マップの一つとして、「フレーミング・ダーツ作戦」が選択可能。

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