フレキシブルプリント基板

フレキシブルプリント基板（FPC）とは

フレキシブルプリント基板、略してFPC（Flexible Printed Circuits）は、柔軟性を持つ印刷回路基板の一種で、電子機器業界で広く利用されています。この基板は、軽量で薄く、繰り返しの変形に耐える特徴を持っており、その電気的特性を維持しながら、複雑な形状に加工できるのが大きな利点です。FPCは、主にポリイミドやポリエステルフィルムといった高信頼性の材質から作られ、特に配線密度が高く、操作の自由度が高いことが求められる様々な電子機器に使用されています。FPCは一般的に「フレキ」とも略されることがあり、これは住友電気工業による商標です。

特性と構造

フレキシブルプリント基板は、通常、厚さ12μmから50μmの絶縁体（ベースフィルム）を基盤にしており、その上に接着層と導体箔を重ね合わせる構造を持っています。従来のリジッド基板と比較すると、フレキシブル基板は加工が容易で、かつ設計の自由度が高いのが特徴です。また、はんだ付けが行われる端子部や接続部は絶縁体に守られ、それ以外の部分も保護されています。

フレキシブル基板で使用される絶縁体には、ポリイミドやポリエステル（PET）などのプラスチックが利用され、導体には一般に銅が用いられます。接着層にはエポキシ樹脂系やアクリル樹脂系の接着剤が採用され、基材としては銅張積層板（CCL）や銅箔付き絶縁体シート（RCC）などがあります。

メンブレン配線板

メンブレン配線板もフレキシブルプリント基板の一種で、キーボードや電卓といったデバイスの配線に用いられます。これらはフレキシブル基板と比較すると機械的強度が劣りますが、製造が簡単であるため一定の需要があります。メンブレンでは、ポリエチレンテレフタラート（PET）樹脂が使用され、カーボンや銀の導電性ペーストで導体が形成されます。

用途

このフレキシブル基板は、様々な用途に適しています。例えば、シリアルプリンターのヘッドに電気信号を送るための配線や、折りたたみ型携帯電話のヒンジ部分で使用されることが多いです。また、液晶ディスプレイと主基板の間での信号伝達や、スペースの制約がある部品への配線にも広く使われています。

歴史

フレキシブルプリント基板の歴史は、1960年代に宇宙開発や航空機産業で始まりました。当時、軽量で柔軟性のある素材が求められ、デュポン社によってポリイミドが開発され、1970年代に日本にもその技術が導入されました。1980年頃からは、スマートフォンやウェアラブルデバイスの増加に伴い、FPCの需要が急増し、現在では数多くの電子機器に不可欠な存在となっています。

FPCのメーカーと規格

国内外には多くのフレキシブルプリント基板のメーカーが存在し、日本メクトロンやフジクラ、住友電工プリントサーキットなどが著名です。また、国際的にはZhen Ding Technology（台湾）やMFLEX（中国）などが競合しています。

FPCに関する標準規格は、IPCやJPCA、KPCAなどによって定められ、これに基づいた製品設計や製造が行われています。

結論

フレキシブルプリント基板は、その優れた柔軟性と設計の自由度から、ジョイントテクノロジーの一部として重要な役割を果たしています。今後も様々な電子機器の発展に寄与することが期待されます。

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