アクリル樹脂

アクリル樹脂について

アクリル樹脂とは、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルを重合して作られる合成樹脂の一種で、特に透明性が高い非晶質の素材として知られています。代表的なものとしては、ポリメタクリル酸メチル（PMMA）が挙げられ、一般的には「アクリルガラス」としても広まっています。特有の匂いを放つことから、「匂いガラス」とか「有機ガラス」とも呼ばれています。この素材は1934年頃に工業化され、多様な商標名が存在します。特に、ドイツのエボニック社が展開する「プレキシグラス」は、一般名詞化した名称としてよく知られています。

製法

アクリル樹脂の製法の主流はラジカル重合です。このプロセスを通じて、重合度が約10,000から15,000の製品を得ることができます。一般的には、懸濁重合を行い、その後熱可塑形成を施して薄板や多様な形状に加工されます。厚手の板や合わせガラスを作成する場合は、モノマーと重合開始剤を封入し、その場で重合を行う鋳込み（キャスティング）重合が用いられることがあります。鋳込みによる製法は、より堅固で優れた物性を持つ製品を生み出すことができますが、加工に時間がかかるため、一般的には割高です。

性質

メタクリル酸エステル重合体であるアクリル樹脂は、非常に透明で屈折率も高く、熱可塑性に優れています。そのため、光学材料として広く活用されているのです。また、様々な有機溶媒に溶解する特性を持っており、熱に対して80℃から100℃で軟化し始めます。成型には通常260℃が使用されます。

さらに、アクリル酸のモノマーは他のモノマーと共重合することで、その性質を改変でき、多種多様な合成樹脂が開発されています。耐候性にも優れているため、屋外環境での使用にも適しています。

用途

ポリメタクリル酸エステル樹脂は、その高い透明性と優れた耐衝撃性から、多岐にわたる分野で使用されています。具体的には、建材や航空機の窓、照明器具のカバー、行灯看板、道路標識、日常生活用品、工芸品、腕時計の風防など、様々なところでアクリル樹脂が活用されています。

第二次世界大戦中からは、航空機のキャノピーにも利用されるようになりました。傷がつきやすい側面があるため、表面にはコーティングが施された製品が普及しています。しかし、衝撃に対する耐性が高いため、緊急脱出時に頭部を風防にぶつける事故が懸念されており、対策としてキャノピーを破砕する装置や内側から割れやすくする加工も行われています。

さらに、アクリル樹脂を用いることにより、無機ガラスでは実現が難しい厚さや形状の堅牢な製品が作成可能になりました。たとえば、大型水族館の水槽などもその例です。アクリルの性質を考慮すると、飼っている魚によっては注意が必要ですが、その特性がメリットをもたらします。

アクリル酸エステルは液状またはワックス状で重合され、着色性が高いため、アクリル塗料の原料に利用されています。特に、水性アクリル[[絵具]]はアクリルエマルションから作られます。また、接着剤としても使用され、アクリルモノマーがアクリルパウダーと重合反応を起こすタイプのものも存在します。

光硬化性樹脂（UVレジン）

一部のアクリル樹脂は紫外線で硬化する特徴を持つ光硬化性樹脂（UVレジン）です。この性質は、歯科や趣味（アクセサリーや模型作り）などの分野で利用されています。UVレジンは固まると硬い性質を持つ一方で、靭性や弾性がある製品もあります。特に、柔らかいタイプの光硬化性樹脂も登場し、使用される場面が増えています。また、3Dプリンターでも多くのタイプで使用されており、液体の造形剤に素材を沈める形式で出力されます。

このように、アクリル樹脂は多様な製法や性質を持っており、さまざまな用途での利用が進んでいます。

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