フレッチャ歩兵戦闘車

フレッチャ歩兵戦闘車

フレッチャ歩兵戦闘車（イタリア語: 矢）は、イタリア陸軍で広く採用されている8輪駆動の装輪式戦闘車両です。この車両は、冷戦時代に使用されていたVCC-2装甲兵員輸送車を置き換える目的で、2006年に249両が発注されました。最初の配備は、南イタリアの機械化旅団「ピネローロ」に行われ、それ以降の納入も順調に進んでいます。

設計と性能

フレッチャは、イタリアのイヴェコとオート・メラーラという2つの企業の協力により製造されています。車体、エンジン、サスペンションはイヴェコ製であり、武装はオート・メラーラによるものです。フレッチャは、KBA 25mm機関砲を主体にしたヒットフィスト砲塔を搭載し、戦闘時には高い火力を発揮します。この砲塔には250発の25mm砲弾を搭載でき、対戦車能力を持つスパイクMR/LRミサイルの装備も可能です。さらに、砲塔の両側には4門の80mm煙幕弾発射筒が配置されており、敵の視界を遮るために使用されます。

フレッチャは最大で8名の武装兵を輸送できるため、戦場での隊員配置も柔軟に行えます。火器管制システムは、チェンタウロ戦闘偵察車と同様のレベルであり、精密な攻撃を可能にしています。これにより、戦術的な運用において大きな優位性を提供します。

調達と運用

イタリア政府が発注したフレッチャは、戦闘車、対戦車戦闘車、移動指揮所、迫撃砲運搬車など多様なモデルで構成されており、2017年には最初の249両が納入されました。新たに発注された81両は、戦闘車や対戦車戦闘車、その他の運用モデルを含み、同じく機械化旅団「ピネローロ」の装備として利用されています。またアオスタ機械化旅団用に、さらに多様なモデルも発注中です。

派生型と未来展望

フレッチャにはさまざまな派生型があり、それぞれ異なる任務に特化しています。例えば、KBA 25mm機関砲を装備した戦闘車や、対戦車能力を強化したモデル、移動指揮所などが存在します。また、最新型のチェンタウロIIはフレッチャのシャシーを基にし、強力な120mm砲を搭載した駆逐戦車として開発されています。

さらに、発展型であるフレッチャEVOは、30mm自動砲を装備し、軍の近代化の一環として300両の取得が計画されています。これにより、陸軍は最新技術を活用した運用が可能となり、将来の戦闘でも高いパフォーマンスを発揮できるでしょう。

現在の運用者

フレッチャは、イタリア陸軍のさまざまな部隊で運用されています。ピネローロ機械化旅団をはじめ、バーリ第9歩兵連隊、トリノ第82歩兵連隊、アオスタ機械化旅団など、多くの部隊がこの車両を装備しており、今後もその役割はさらに重要となることでしょう。これに加えて、フレッチャEVOやチェンタウロIIが配備される予定であり、陸軍は新しい戦術に基づいた運用体系を整えることが期待されています。

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