歩兵戦闘車

歩兵戦闘車（IFV）とは

歩兵戦闘車（Infantry Fighting Vehicle、IFV）は、兵員を乗せるだけでなく、積極的に戦闘にも参加できる装甲戦闘車両です。この車両は、機動力、火力、装甲のバランスが取れている点が特徴であり、初めて登場した際は機械化歩兵戦闘車（MICV）と呼ばれていました。

概要

IFVの主な特徴は以下の4点です：

1. 兵員輸送能力: IFVは、操縦士などの乗員に加えて、分隊分の歩兵を収容することができます。これにより、歩兵は必要に応じて車両から下車し、戦闘に参加することが可能です。

2. 強力な火力: IFVには、機関砲や対戦車ミサイルが搭載されています。これにより、下車した歩兵部隊への火力支援を行いつつ、敵の軽装甲車両や主力[[戦車]]にも対抗できる能力を持っています。また、銃眼を通じて歩兵が乗車したまま射撃できる設計も多く見られます。

3. 装甲防護力: IFVは、戦車と共に行動するため、相応の防護力を求められます。一般的に戦車よりは劣りますが、一定の防護性能を備えています。

4. 戦術機動力: IFVは、装甲部隊の一員として機動力を有し、不整地でも走破可能な能力が求められます。従来の全装軌式が主流ですが、軽量化のために装輪式のタイプも開発されています。

歴史を振り返る

APCの登場

第一次世界大戦中、歩兵と戦車の協同作戦が模索され、装甲車両による歩兵の移動が試みられました。大戦後、半装軌式の装甲車（ハーフトラック）が登場し、第二次世界大戦で実戦投入されましたが、戦車との比較でその機動力に限界がありました。このことから、戦争の終焉を迎える頃には、全装軌式の装甲兵員輸送車（APC）が開発されました。

IFVの進化

1950年代に入り、装甲付きで強力な火力を備えたIFVの開発が進みました。フランスのAMX-VCIや西ドイツのHS.30、ソビエト連邦のBMP-1などがその代表例です。BMP-1は、その高い火力支援能力とNBC兵器に対する防護が評価され、各国に影響を与えました。このように、IFVは自らが攻撃に参加しながら歩兵を支援する新しい装甲車両としての役割を確立していったのです。

IFVの機能

これらのIFVは、機関砲を使用して敵の軽装甲車両に対抗し、そして銃眼からの火力や対戦車ミサイルの使用により、歩兵部隊への圧力をかけ、戦場での役割を果たします。加えて、重火器の装備が進むにつれ、装甲の強化も求められるようになりました。これによって、従来のIFVからより高い防護力を有する車両へと進化が続いています。

現在の展望

現在、歩兵戦闘車は冷戦以降の戦闘において不可欠な存在とされ、各国で個性ある設計や性能を持つタイプが存在します。戦場の環境に応じたさまざまな運用が進み、それぞれの戦術に沿った多用途性が期待されています。これからのIFVの進化がどのように軍事の現場に影響を与えるのか、注目が集まるところです。

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