フレディVSジェイソン

『フレディVSジェイソン』は、2003年に公開されたアメリカのスラッシャー映画で、ロニー・ユーが監督を務めました。この作品は、「エルム街の悪夢」シリーズと「13日の金曜日」シリーズという、ホラー映画界を代表する2大シリーズのクロスオーバー作品として注目を集めました。

物語は、「エルム街の悪夢 ザ・ファイナルナイトメア」でのフレディ・クルーガーの惨劇から10年後を舞台に展開します。フレディは、人々の記憶から忘れ去られることで力を失い、弱体化していました。この状況を打開するため、フレディは現実世界の殺人鬼であるジェイソン・ボーヒーズを利用し、エルム街に再び恐怖を蘇らせようと企てます。彼は、ジェイソンを操り、殺戮を繰り広げさせ、それによって人々に自身の存在を思い出させ、力を取り戻そうとするのです。

ジェイソンはフレディの思惑通りエルム街で殺戮を繰り返しますが、次第にフレディの制御を離れて暴走を始めます。フレディは、ジェイソンを始末して自分の存在をアピールしようとしますが、ジェイソンの強大な力に翻弄されることになります。

一方、ローリーという若い女性は、フレディを阻止しようとします。彼女は夢の中でフレディと対峙し、母親の死がフレディの仕業であることを知ります。現実世界では、ジェイソンの暴走によって多くの犠牲者が出ており、ローリーはフレディを現実世界に引きずり込み、ジェイソンとの激闘に巻き込まれることになります。

フレディとジェイソンは、壮絶な戦いを繰り広げますが、ローリーの機転により、両者は湖に沈められます。しかし、その直後、ジェイソンは湖から這い上がり、フレディの生首を手にします。フレディは生首になっても不気味な笑みを浮かべ、物語は衝撃的な結末を迎えます。

この映画は、単なるクロスオーバー作品としてだけでなく、両シリーズのキャラクターの個性を最大限に引き出し、観客を魅了しました。フレディの悪夢の中での戦いと、ジェイソンの現実世界での殺戮が交錯し、予測不能な展開が繰り広げられます。また、両シリーズのファンにとっては、フレディとジェイソンの対決が実現するという、まさに夢のような作品であったと言えるでしょう。

本作は、全世界で1億1600万ドル以上の興行収入を記録し、「13日の金曜日」シリーズでは最高の興行収入、「エルム街の悪夢」シリーズでは2番目に高い興行収入を記録しました。ロバート・イングランドは、本作を最後にフレディ・クルーガー役を引退しました。

監督はロニー・ユー、脚本はマーク・スウィフトとダミアン・シャノンが担当しました。製作はショーン・S・カニンガムが務め、製作総指揮にはロバート・シェイとダグラス・カーティスが名を連ねています。また、両シリーズの創始者であるショーン・S・カニンガムとウェス・クレイヴンは、旧知の間柄であり、1972年に「鮮血の美学」でコンビを組んでいたことも、この作品の実現を後押ししたと言えるでしょう。

当初の結末は、ローリーとウィルが結ばれるというものでしたが、試写会での評判が良くなかったため、変更されたというエピソードも残っています。この作品は、多くのファンにとって、両シリーズの歴史を締めくくるにふさわしい作品として、記憶されているのではないでしょうか。

ソフト版とテレビ東京版の日本語吹替が存在し、ソフト版では石波義人、風間秀郎らが、テレビ東京版では志村知幸、長克巳らが声優を務めています。

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