フレデリック (ヨーク・オールバニ公)

ヨーク＝オールバニ公爵フレデリック王子の生涯

フレデリック王子（Prince Frederick, Duke of York and Albany）は、1763年10月16日にイギリスのロンドン、セント・ジェームズ宮殿で誕生しました。彼は国王ジョージ3世の次男として生まれ、早くから軍人としての道を歩むことになります。生後間もなくオスナブリュック司教に叙せられ、ドイツでの軍事教育を受けることになります。

1784年11月29日、フレデリック王子はグレートブリテン貴族のヨーク＝オールバニ公爵およびアイルランド貴族のアルスター伯爵に叙され、貴族としての地位を確立します。彼は1780年にイギリス陸軍に入隊し、大佐としてのキャリアが始まります。その後、1782年に少将、1784年に中将、1793年に大将、最終的には1795年には陸軍元帥に昇進し、軍での地位を不動のものにしました。また、1787年にはフリーメイソンに加入し、その活動にも関与しています。

1793年、フレデリック王子はフランス革命戦争におけるネーデルラント遠征軍の総司令官に任命され、フランドルでフランス革命軍と対戦しましたが、彼の軍事的能力には限界があり、結果的には敗北を喫してしまいます。1795年には一時帰国を余儀なくされ、さらなる軍事的失敗が続くこととなります。1798年には再び陸軍最高司令官に任じられ、1799年にもネーデルラント遠征軍の司令官として大陸に渡りますが、戦果を挙げることなく再度帰国する結果となります。

フレデリック王子の軍事キャリアには色々な波乱がありました。特に1804年には、愛人であった女優メアリー・アン・クラークが彼の名を利用して詐欺行為を働き、その影響で彼は陸軍最高司令官の職を辞することになります。この事件は王子の名声に大きな打撃を与えました。

私生活では、1791年にプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム2世の一人娘フリーデリケと結婚しますが、子供には恵まれませんでした。彼の結婚式はベルリンのシャルロッテンブルク宮殿とバッキンガム宮殿で執り行われました。

1811年、彼の兄であるジョージ王太子（後のジョージ4世）が摂政に就任すると、再び陸軍最高司令官としての地位を復活します。この頃、フレデリック王子はカトリック解放に反対する立場を明確にし、その姿勢が知られるようになります。

フレデリック王子は1827年1月5日に亡くなりました。彼の生涯は、軍人としての成功と失敗、さらに私生活における様々な出来事で彩られたものであり、イギリス史において重要な役割を果たした王族の一人と言えるでしょう。

参考文献

• - 松村赳、富田虎男『英米史辞典』研究社、2000年。
• - 湯浅慎一『フリーメイソンリー その思想、人物、歴史』中央公論社〈中公新書955〉、1990年。
• - Heathcote, Tony (1999). The British Field Marshals, 1736–1997: A Biographical Dictionary. Barnsley: Leo Cooper.

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