フレデリック・ルイス (プリンス・オブ・ウェールズ)

フレデリック・ルイス王子：運命に翻弄された王族の生涯

フレデリック・ルイス（1707年2月1日-1751年3月31日）は、イギリス王室の歴史において重要な役割を果たした人物でありながら、王位には就くことなく生涯を終えた王族です。ジョージ2世と妃キャロラインの長男としてハノーファーで生まれ、ジョージ3世の父として知られています。

彼の生涯は、複雑な家族関係、政治的対立、そしてフリーメイソンとの繋がりによって彩られています。幼少期は、祖父であるゲオルク・ルートヴィヒ（後のジョージ1世）の意向により、ハノーファーで過ごしました。両親であるジョージ2世とキャロラインと共にイギリスに移住したのは、7歳になってからのことであり、それまでの間、彼は両親と離れて育ちました。この経験は、彼の性格や、後の両親との関係に大きな影響を与えたと考えられています。

1726年にはエディンバラ公爵に叙爵され、翌年には父がジョージ2世としてイギリス王位を継承するも、彼はハノーファーにとどまり、1728年に自らイギリスへ渡るまで両親と再会することはありませんでした。これは、祖父の意向によるものでした。

イギリスに移住後、彼はプリンス・オブ・ウェールズに叙せられましたが、「ハノーファーのプリンス・フリードリヒ・ルートヴィヒ」として知られることも多く、王室の期待に応えることができませんでした。両親、特に母親との関係は険悪なままであり、この確執は彼の生涯を通じて続きました。

政治面においても、彼は父であるジョージ2世と対立し、首相ロバート・ウォルポールとも衝突しました。1741年の総選挙では、ウォルポールへの反発を露わにし、翌年にはウォルポールの辞任に繋がりました。その後も、ヘンリー・ペラム政権と対立を続けました。

しかし、彼の政治活動は、父王の死よりも早く、1751年に急逝したことで幕を閉じます。彼の死は、王位継承問題に新たな波紋を呼ぶことになりました。彼の長男であるジョージ・ウィリアム・フレデリックが新たなプリンス・オブ・ウェールズとなり、後にジョージ3世として王位に就きました。

フレデリック・ルイス王子の生涯は、王族としての地位、家族、政治、そして信仰という複雑に絡み合った要素によって構成されています。彼は、王位継承には至らなかったものの、イギリス王室の歴史において重要な役割を果たした人物と言えるでしょう。

興味深いことに、フレデリック・ルイス王子は1737年にフリーメイソンに入会しています。これは、イギリス王族男子がフリーメイソンに加入するきっかけとなり、英国王室とフリーメイソンとの関係を深めることに貢献しました。彼の兄弟であるヨーク公、グロスター公、カンバーランド公もフリーメイソンに加入したことが知られていますが、長男のジョージ王子（後のジョージ3世）は加入の記録がありません。

私生活においては、1736年にザクセン＝ゴータ＝アルテンブルク公女オーガスタと結婚し、5男4女をもうけました。その中には、後のジョージ4世の王妃キャロラインの母となるオーガスタや、イギリス国王ジョージ3世も含まれています。末娘のキャロライン・マティルダは彼の死後に誕生しました。

フレデリック・ルイス王子は、王位継承という大きな目標を達成することはできませんでしたが、その生涯は、家族関係、政治、そして宗教といった様々な要素が複雑に絡み合い、イギリス王室の歴史に刻まれた重要な出来事でした。彼の存在は、現代においても歴史家や王室研究者たちの関心を集めており、彼の生涯は今後も研究対象として注目され続けるでしょう。彼の波乱に満ちた人生は、歴史の影に隠された、魅力的で悲劇的な物語として語り継がれるにふさわしいものです。

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