フロリダ時間

アメリカ合衆国南東部に位置するフロリダ州では、州内の地域によって異なる公式な時間帯が採用されています。

東部時間帯が適用される地域

フロリダ州の面積の大部分を占める地域では、東部時間帯（Eastern Time）が適用されています。具体的には、州の東海岸沿いや、内陸部の広範な地域がこれに該当します。

この時間帯における標準時として、東部標準時（EST: Eastern Standard Time）が用いられます。東部標準時は、協定世界時（UTC）よりも5時間遅れたUTC-5として定義されています。

中部時間帯が適用される地域

一方、フロリダ州の北西部、「パンハンドル（Panhandle）」と呼ばれる細長い地域の一部では、中部時間帯（Central Time）が採用されています。この地域は地理的にアラバマ州やジョージア州といった中部時間帯を採用する州と隣接しており、それに合わせています。中部時間帯に属する主な郡は以下の通りです。

ベイ郡（Bay County）
カルフーン郡（Calhoun County）
エスカンビア郡（Escambia County）
ホームズ郡（Holmes County）
ジャクソン郡（Jackson County）
オカルーサ郡（Okaloosa County）
サンタローザ郡（Santa Rosa County）
ウォルトン郡（Walton County）
ワシントン郡（Washington County）
ガルフ郡北部（Northern Gulf County）

これらの地域における標準時として、中部標準時（CST: Central Standard Time）が用いられます。中部標準時は、協定世界時（UTC）よりも6時間遅れたUTC-6として定義されています。

なお、ガルフ郡はその北部が中部時間帯に属するのに対し、南部は東部時間帯に属するという、郡内で時間帯が分割されている珍しい例となっています。

州全域での夏時間実施

フロリダ州における時間管理のもう一つの特徴は、州全域で夏時間（Daylight Saving Time）が実施されることです。通常、3月の第2日曜日から11月の第1日曜日までの期間、時間は1時間進められます。

東部時間帯の地域では、夏期間中は東部夏時間（EDT: Eastern Daylight Time）が適用され、UTCから4時間遅れたUTC-4となります。
中部時間帯の地域では、夏期間中は中部夏時間（CDT: Central Daylight Time）が適用され、UTCから5時間遅れたUTC-5となります。

これにより、夏期間中も東部時間帯と中部時間帯の間には1時間の時差が存在することになります。

tz databaseにおける位置づけ

世界中のタイムゾーン情報を標準化・管理していることで広く利用されているtz database（IANAタイムゾーンデータベースとも呼ばれます）においても、フロリダ州の時間帯情報は正確に記録されています。例えば、2017年C版のデータセットには、フロリダ州の異なる二つの時間帯（東部時間帯と中部時間帯）に関する情報が明確に区分されて含まれており、国際的なシステムにおいてもこの地域の複雑な時間管理が反映されています。

このように、フロリダ州は一つの州でありながら、地理的な要因や周辺地域との関係から、異なる時間帯を持つ地域が存在し、さらに全域で夏時間を実施するという、特徴的な時間システムを採用しています。

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