フードコート

フードコートについて

フードコート（Food Court）は、複数の飲食店が隣接し、セルフサービス形式で食事を楽しむためのスペースです。この形式は1980年代にアメリカ合衆国で広まり、ショッピングモールや空港内で多く見られました。英語の「コート」は、囲まれた四角い庭を意味し、飲食の楽しみを提供しています。

フードコートの特徴

一般的に、フードコートは約100席の広々とした座席エリアを備えており、その周囲に調理設備やレジを整えた数店舗が配置されています。来店者は事前に食べたい料理の店舗を選び、注文と支払いを行います。この際、店員から渡される番号札や呼び出しベルを受け取り、料理ができたら再度その店舗へ取りに行きます。食事が終わった後は、食器を返しに行くことが求められます。

また、フードコート内では、飲料水のサーバーや食器返却スペースが共有されていることが一般的です。さらに、特定のフードコートでは、食器洗浄エリアが設けられ、各店舗の食器を集中的に洗浄するシステムも存在しています。

フードコートの利点と欠点

このような形式の最大の利点の一つは、メニューごとに店舗を分け、共通の客席を利用することで、省スペース化が可能な点です。グループで訪れる客は、それぞれ異なる種類の料理を選ぶことができ、特に広い客席は子供連れの家族にとっても快適な環境を提供しています。

一方で、フードコートにはいくつかの課題も存在します。改修作業を行う際、フードコート内の店舗が協力しないと工事が進まない場合があります。また、共通のデザインが採用されるため、店舗固有の魅力が伝わりにくいこともあります。さらに、飲食の目的でなく、読書や勉強をするためにテーブルを長時間占有されると、混雑時には他の客が食事できないというモラルに関する問題も生じます。

各国のフードコートの例

日本のフードコート

日本では、フードコートがショッピングセンターを中心に広がっています。「イトーヨーカドー」や「ダイエー」などでは、各店舗がオリジナルのブランドを持つことが多く、阪神百貨店では「フードテリア」という名称が使われています。また、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアでもこの形式が見られ、利用客に利便性を提供しています。食品持ち込みは禁止されることが一般的ですが、これに関してはケースバイケースで異なります。

タイのフードコート

タイでは、BigCやテスコ・ロータスといった大手スーパーやデパートにフードコートが設置されています。ここでは、事前にカウンターでクーポンを購入し、それを使用して支払いを行うスタイルが一般的で、余ったクーポンの払い戻しが可能です。また、最近ではICカードを用いたクーポンシステムが導入されることも増えてきました。

シンガポール・マレーシアにおける事例

シンガポールやマレーシアには、コピティアムやホーカーセンターと呼ばれる屋台街が存在し、これらもフードコートと同様の機能を果たしています。多様な料理が楽しめる場として、地元の人々や観光客に愛され続けています。

終わりに

フードコートは、多様な料理を楽しむことができる便利な食の場として多くの国で浸透しています。その利便性と共通の空間が生むコミュニティ感は、訪れる人々にとって貴重な体験を提供します。

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