コピティアム

コピティアム（kopitiam）は、東南アジア、特にマレーシアとシンガポールで親しまれている、コーヒーや伝統的な朝食を提供する飲食店です。この言葉は、マレー語でコーヒーを意味する「kopi」と、福建語で店を意味する「tiam」が組み合わさってできています。地元では「㗝呸店」や「羔丕店」と表記されることもあります。

コピティアムのメニュー

コピティアムのメニューは、一般的に軽食と飲み物が中心です。具体的には、以下のようなものが提供されています。

コピ: 濃いめに抽出したコーヒーで、コンデンスミルクや砂糖を加えて飲むのが一般的です。
紅茶: コーヒーと同様に、コンデンスミルクや砂糖を加えたものが提供されます。
カヤトースト: ココナッツミルク、卵、砂糖を煮詰めたカヤジャムを塗ったトーストです。バターを添えることもあります。
ゆで卵: 柔らかく茹でた卵は、醤油やコショウをかけて食べます。
ミロ: 東南アジアで人気の麦芽飲料です。
その他軽食: 各店舗によって、様々な料理が提供されます。

シンガポールのコピティアム

シンガポールでは、コピティアムは街の至る所で見られます。特に、工業地帯や住宅街には必ずと言っていいほど存在します。多くは小さな露店が集まった形態ですが、フードコートのような大規模な店舗もあります。シンガポールのコピティアムでは、飲み物を提供する露店と、様々な料理を提供する露店が分かれて営業していることが多いです。

コピティアムは、様々な民族や食習慣を持つ人々が同じ場所で食事を楽しむことができる、多文化社会の象徴的な場所でもあります。シンガポール料理だけでなく、他の民族の伝統料理も楽しむことができます。

また、シンガポールには「コピティアム」という名前のフードコートチェーン店も存在します。

マレーシアのコピティアム

マレーシアでも、シンガポールと同様にコピティアムが広く見られますが、いくつか異なる点があります。

中国系のコーヒーショップ: マレーシアでは、特に中国系のコーヒーショップを「コピティアム」と呼ぶことが多いです。
料理の種類: マレーシアのコピティアムでは、マレーシア式中華料理が中心です。
メニューの表示: シンガポールに比べて、メニューの写真表示が少ない場合があります。
価格: 料理と飲み物を合わせても、10リンギット（約320円）程度と安価です。
提供される料理の例: カレー麺、チーチョンファン、炒飯、炒麺、ナシレマッ、トースト、チェンドルなどがあります。

近年では、懐古趣味や富裕層の増加に伴い、古風なコピティアムがリバイバルしています。また、新しいコピティアムも登場しており、ファーストフード店のようにモダンな内装でありながら、伝統的な雰囲気も残しています。これらの新しいコピティアムは、スターバックスなどのコーヒーチェーン店の影響を受けつつ、地元の味と手頃な価格を両立させています。

マレーシアの近代的なコピティアムのパイオニアとして知られる「アンクル・リム」というブランドは、100店舗以上展開しています。

コーヒーショップ・トーク

コピティアムは、地元の人々にとって単なる飲食店以上の存在です。店員や常連客がコーヒーを飲みながら、ニュースやゴシップなどを語り合う場にもなっています。そのため、噂話やゴシップを「コーヒーショップ・トーク」と呼ぶこともあります。

まとめ

コピティアムは、東南アジアの食文化を語る上で欠かせない存在です。シンガポールとマレーシアでは、それぞれ異なる特徴を持ちながら、人々の生活に密着しています。手軽な価格で美味しい食事と飲み物を楽しむことができ、地元の人々の社交の場としても重要な役割を果たしています。観光で訪れた際には、ぜひコピティアムで現地の味を体験してみてください。

参考文献

Kopitiam（コピティアム） - シンガポールのフードコート展開企業（英語）

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