フードD

フードD：北海道を舞台にしたスーパーマーケットの進化

1. はじまり：菓子店からスーパーマーケットへ

フードDを運営する株式会社豊月は、1948年、北海道で菓子店として創業しました。その後、食品小売業に進出し、1973年、苫小牧市に見山店をオープン。これがフードDの始まりです。創業者の豊岡憲治氏は、樺太生まれで、戦後の混乱期に両親が始めた菓子店や戸板商売を経験。その経験が、後のスーパーマーケット経営の礎となりました。芦別での事業展開を経て、発展性を見込んだ苫小牧への進出を決断したのです。

2. ディスカウント業態への転換：フードDの誕生

時代に合わせて、豊岡氏はいち早くディスカウント業態への転換を図ります。覚えやすくシンプルな店名として「フードD」を採用。苫小牧を中心に店舗展開を進め、1993年には双葉店をフードD1としてリニューアル。当初は3000アイテムに絞り込んだ商品展開で低価格を実現しましたが、その後、社員のレベル向上とともにアイテム数を増やし、品揃えの充実を図りました。

3. 高品質化への挑戦：クオリティとディスカウントの両立

2000年代に入ると、フードDはディスカウント業態にとどまらず、高品質化を目指した戦略へシフト。
「Q＆D（クオリティ＆ディスカウント）」を掲げ、鮮度と品質にこだわった商品提供を開始。惣菜部門にはホテルで修行したシェフを招聘するなど、高付加価値商品を強化。2010年には、新業態として「LISTA」をオープン。新鮮な食材や当日製造の食品を定価で販売するなど、従来の常識を覆す取り組みで、顧客満足度の向上を目指しました。

4. さらなる進化：EDLPと生鮮市場

競争激化への対応として、2016年にはEDLP（Every Day Low Price）を導入。既存店舗のリニューアルも進め、高品質と低価格の両立を図りました。
そして2024年には、買い物客の低価格志向の高まりを受け、新たな業態として「フードD生鮮市場」を展開。澄川店、沼ノ端店を皮切りに、生鮮食品の鮮度と日配品・グロサリー商品の低価格を両立する店舗へと転換を進めています。

5. 地域とともに歩む：芦別本店の閉店と本社移転

2023年3月、創業の地である芦別市にあった芦別本店を閉店しました。高齢化による人材確保の困難さ、売り上げ減、経営状況などを総合的に判断した結果です。同時に本社機能は苫小牧市に移転しました。芦別での75年にわたる歴史に幕を閉じました。

6. 現在と未来

現在、フードDは北海道道央圏を中心に11店舗（2023年現在）を展開。生鮮食品を中心とした品揃えと、低価格と高品質の両立を目指す姿勢は、地域住民から支持され続けています。今後も、消費者のニーズの変化に対応しながら、進化を続けるでしょう。セルコグループ、CGCグループへの加盟も、その取り組みの一端を象徴しています。

7. 店舗一覧（2024年10月時点）

苫小牧市：365双葉店、生鮮市場澄川店、エクスプレス見山店、生鮮市場沼ノ端店
千歳市：365千歳食彩館
恵庭市：365恵庭食彩館
北広島市：365虹ヶ丘食彩館
札幌市：365BOSCO店、365平岡食彩館、365Value店
江別市：365LISTA店

8. まとめ

フードDは、創業から現在まで、常に時代の変化に対応し、進化を続けてきました。菓子店からスタートした小さな会社が、地域に密着したスーパーマーケットチェーンへと成長を遂げたその歴史は、北海道の地域社会発展の軌跡と重なります。これからも、フードDの挑戦は続きます。

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