ブエリング航空

ブエリング航空：スペインを拠点とする格安航空会社

ブエリング航空（Vueling Airlines）は、2004年にバルセロナを拠点として設立されたスペインの格安航空会社です。スペイン国内資本としては初の格安航空会社として、国内線およびヨーロッパ方面への路線を展開しています。

概要

ブエリング航空は、スペイン国内線のほか、オランダやイタリアなどへの路線を運航しています。ローマ・レオナルド・ダ・ヴィンチ国際空港を準ハブ空港としており、同空港からはスペイン方面のみならず、ヨーロッパ各地の空港への路線も充実しています。

従来の格安航空会社は、コスト削減のため、発着料金が安く混雑しにくい郊外の空港を利用する傾向がありましたが、ブエリング航空は、パリのオルリー空港やアムステルダムのスキポール空港など、大手航空会社が利用する主要空港を使用する点を特徴としています。

マイレージプログラムとして「プント」を運営しており、イベリア航空傘下となったため、イベリア航空の「イベリア・プラス」でもマイルの加算が可能です。

歴史

ブエリング航空の誕生により、スペインのフラッグキャリアであるイベリア航空は危機感を抱き、同社のバルセロナ発着路線の多くを、子会社の格安航空会社であるクリックエアーとして運航していました。しかし、2009年7月9日にブエリング航空はクリックエアーと合併し、イベリア航空の関連会社となりました（ただし、イベリア航空が加盟しているワンワールドのサービスは利用できません）。

2011年にイベリア航空がブリティッシュ・エアウェイズと統合され、共同持株会社であるインターナショナル・エアラインズ・グループ（IAG）が設立されました。2012年には、IAGはイベリア航空が保有する45.85％を除く54.15％を市場で買い付ける計画を発表しましたが、買い付け価格が低いことを理由に株主が拒否しました。2013年に買い付け価格を引き上げた結果、残りの82.48％の株主とも合意し、IAGはイベリア航空の保有分を含め、ブエリング航空の株式の90.51％を保有し、IAGグループ傘下となりました。

保有機材

設立当初は、A320のCFMエンジンを装備した型式のみを使用していましたが、イベリア航空傘下に入り、CFMエンジンの出力が異なる型式も使用するようになりました。その後、ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空が統合され、インターナショナル・エアラインズ・グループ（IAG）傘下の会社になったことで、ブリティッシュ・エアウェイズで装備・運用されているIAEエンジンを装備した型式も使用するようになりました。さらに、シャークレットを装備した機体や、座席を高需要路線用に増加させた機体を導入し、将来的には燃費を改善したA320neo型も発注しています。同一機種、同一エンジンを採用して安全以外の運用コストを低く抑えたい格安航空会社としては珍しく、型式の異なるA320型機のほとんどの型式を運用する会社となる予定です。

A320型機に関しては、中古のリース機も積極的に導入しており、日本のスターフライヤーで使用していた機体や、ジェットスター・ジャパンで運用予定だった機体も導入されています。

2009年から2011年にかけては、MTVと提携し、A320の2機がMTV塗装で運航されました。

主要就航先

※路線の休止、再開の頻度が多いため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

2025年2月現在、国際線は26カ国128路線、スペイン国内線は76路線、他国間（以遠権路線）は25路線の、合計229路線に就航しています。

就航都市の例
スペイン: マドリッド、バルセロナ、イビサ、ビルバオ、バレンシア、アリカンテ、セビリア、マラガなど
フランス: パリ、ニース
イタリア: ローマ、フィレンツェ、ミラノ、ベネチア、ナポリなど
ベルギー: ブリュッセル
オランダ: アムステルダム
ギリシア: アテネ
ポルトガル: リスボン、ポルト
クロアチア: ザグレブ
ポーランド: クラクフ
ガーナ: アクラ
チュニジア: チュニス

コードシェア

エアリンガス
ブリティッシュ・エアウェイズ
イベリア航空
フライレベルSL
LATAMブラジル
カタール航空

事故

2009年8月5日、パリ・オルリー空港からスペインのアリカンテに向かう便（エアバスA320）が、オルリー空港の誘導路を走行中、右エンジンから出火し、緊急脱出の際に8名が負傷しました。

関連項目

航空会社の一覧

外部リンク

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