ブケパロス

ブケパロス - アレクサンドロス大王の愛馬

ブケパロス（古希: Βουκέφαλος、紀元前355年? - 紀元前326年6月）は、アレクサンドロス3世、つまりアレクサンドロス大王が非常に愛した馬の一頭です。この馬は、その存在と伝説において特に重要な位置を占めています。彼の名は、ラテン語でブーケファラスやブケファルスとも呼ばれていて、日本語ではブケファロスという表記が一般的です。

特異な外見と由来

ブケパロスは大きな黒い馬で、額には星の模様があり、これが牛の角の形状に似ていたことから「ブーケパロス」という名前が付けられました。この名称は、古希語で「雄牛の頭」を意味します。一般的には牡馬と考えられていますが、いくつかの研究では牝馬であったとの説もあります。

また、伝説によれば、ブケパロスには角が生えていたという話もあり、ポンペイの遺跡で発見された壁画にもその様子が描かれています。さらに、偽カリステネスの文献によると、ブケパロスは人食いの馬であったとされ、恐ろしい力を持つ存在として扱われていました。

アレクサンドロスとの出会い

ブケパロスは、ペラスギティス地域で生まれ、アレクサンドロスの父であるピリッポス2世への贈り物として提供されたとされています。この馬はとても気性が荒く、誰も彼に乗ることができなかったと伝えられています。しかし、若きアレクサンドロス王子は、彼の影に恐れをなしていることに気付き、馬の視線を太陽の方に向かわせることで、彼を落ち着かせ見事に乗りこなしました。この冒険を経て、ブケパロスはアレクサンドロスの忠実な愛馬となったのです。

ある説によると、ブケパロスの血統はトルキスタン産のアハルテキン種であるともされています。

最期とブケパロスの名を冠した都市

紀元前326年、アレクサンドロス率いる軍隊がポロス王の軍と接触したヒュダスペス河畔の戦いで、ブケパロスは戦死しました。アレクサンドロスはこの戦いに勝利後、愛馬を丁寧に埋葬し、その地に新しい都市を築きました。この都市は「アレクサンドリア・ブケパロス」と名付けられ、ブケパロスの名が永遠に刻まれることとなりました。

伝説とロマンス

偽カリステネスが記した『マケドニア人アレクサンドロスの生涯』では、ブケパロスには特別な運命が授けられていたとされています。彼を乗りこなす者は世界を支配できるとされ、アレクサンドロスは彼とともに古代オリンピックに出場し、様々な冒険を経て栄光を手にしました。

また、マルコ・ポーロが語り継いだ伝説には、ブケパロスの子孫に関する記載も存在します。王国の伯父が飼っていた一本角を持つ馬がブケパロスの子孫であるが、王国の国王に譲らなかったために殺され、その後、伯父の妻が復讐のために馬を悉く殺したという物語があります。このように、ブケパロスは歴史と伝説に深く根付いた魅力的な存在となっています。

結論

ブケパロスは、アレクサンドロス大王の愛馬としてだけでなく、その伝説や様々な物語を通じても多くの人に語り継がれています。彼の名は、単なる馬を超えた特別な存在となり、古代のロマンや英雄的な物語を象徴するキャラクターとなりました。

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