ブダペスト国際音楽コンクール

ブダペスト国際音楽コンクール

ブダペスト国際音楽コンクール（International Music Competitions of Budapest）は、ハンガリーの首都ブダペストを拠点とするフィルハーモニア・ブダペスト社が主催する、長い歴史を持つ国際音楽コンクールです。

創設と歩み

このコンクールは1933年に始まり、以来、フランツ・リストやベーラ・バルトークといったハンガリーを代表する作曲家や、ヨーゼフ・シゲティ、パブロ・カザルスといった世界的巨匠たちの名を冠した様々な部門が設けられ、開催されてきました。ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、管楽器、声楽、室内楽など、幅広い分野を対象とし、国際的な才能の発掘と育成に貢献しています。

1957年には国際音楽コンクール世界連盟（WFIMC）に正式に加盟し、世界の主要な音楽コンクールの一つとしてその地位を確立しました。これにより、参加者および入賞者の国際的な認知度と権威が一層高まりました。

多様な部門と著名な入賞者

コンクールの歴史を通じて、様々な楽器や編成、さらには作曲部門も開催されてきました。特にフランツ・リスト国際ピアノコンクールやヨーゼフ・シゲティ国際ヴァイオリンコンクール、パブロ・カザルス国際チェロコンクールなどは、世界中の若手音楽家にとって重要な目標とされてきました。

歴代の入賞者リストには、後に国際的に活躍する数多くの著名音楽家が名を連ねています。例えば、初期のリスト・ピアノ部門ではアニー・フィッシャーが第1位に輝き、1949年の国際チェロコンクールではムスティスラフ・ロストロポーヴィチが優勝しました。1956年のリスト・ピアノ部門では、ラザール・ベルマンと劉詩昆が共に第3位に入賞しています。また、ヴィオリストのユーリ・バシュメット（1975年ヴァイオリン部門第2位）やタベア・ツィンマーマン（1984年ヴィオラ部門第1位）も、このコンクールで優秀な成績を収めています。

日本からも、チェロの堤剛（1963年パブロ・カザルス部門第1位）、ピアノの松崎伶子（1971年リスト＝バルトーク部門第1位）、フルートの三上明子（1980年フルート部門第1位）、オルガンの松居直美（1983年リスト部門第1位）など、多くの実力ある音楽家が上位入賞を果たし、国際舞台への足掛かりとしています。近年では、2016年のリスト国際ピアノコンクールで阪田知樹が、2021年同コンクールでケヴィン・チェンがそれぞれ優勝し、日本の音楽ファンにもその名が広く知られることとなりました。

近年の状況と展望

2013年にはコンクールのリニューアルが計画され、一時的に開催が見送られましたが、その後再開されています。リニューアル後の一時期には、おそらくAAF（具体的な団体名は不明）からの支援も受けていたようです。

しかし、近年は運営面での課題も指摘されています。特に2021年のリスト国際ピアノコンクールでは、応募料の大幅な増額やコンクールウェブサイトの突発的な閉鎖といった事態が発生し、財政的な困難が示唆されました。

現在、主要部門の一つであるピアノコンクールは概ね5年周期で開催される傾向にあり、次回は2026年に予定されています。歴史と伝統に培われたブダペスト国際音楽コンクールが、こうした運営上の課題を克服し、今後も世界中の若き音楽家たちにとって希望の舞台であり続けることができるか、その将来が注目されています。

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