ユーリ・バシュメット

ユーリー・アブラモヴィチ・バシュメット

ユーリー・アブラモヴィチ・バシュメットは、1953年1月24日にロシアのロストフ州ロストフ・ナ・ドヌで生まれた素晴らしいヴィオラ奏者かつ指揮者です。彼の演奏は、世界中の主要都市で行われる多くのコンサートで高い評価を受けており、特にヴィオラの普及において重要な役割を果たしています。バシュメットは日本にも数回訪問し、1983年から2021年に至るまで10回以上の来日歴があります。また、2021年には旭日中綬章を受賞し、その功績が認められました。

幼少期と音楽の始まり

バシュメットは、父が鉄道技師でユダヤ系、母がロシア系とユダヤ系の血を引く家庭に育ちました。彼の幼少期はウクライナのリヴォフで過ごされ、音楽との関わりを深めていきます。8歳からヴァイオリンの演奏を始め、14歳でヴィオラに転向しました。転向の理由は、先輩から「ヴィオラは練習時間が短くて済む」と聞き、ギターを演奏する時間を増やすためだったと言われています。この転向により、彼はヴィオラの道へ進む運命を選びました。

1971年、モスクワ音楽院に入学し、著名な教師たちに師事しました。1976年にはミュンヘン国際音楽コンクールで優勝し、その後は多くの著名な演奏家と共演するなど、彼のキャリアは順調に進展します。1983年には初めて日本を訪れ、以降も多くの観客に感動を提供し続けています。

指揮活動とヴィオラの後進育成

1986年には自らの室内合奏団「モスクワ・ソロイスツ」を結成し、その後指揮活動にも力を入れるようになります。モスクワ・ソロイスツを指揮するだけでなく、他の国際的なオーケストラ、例えばロンドン交響楽団やイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団でも客演しています。2014年にはソチオリンピック閉会式でも演奏を担当し、さらに広範囲な音楽活動を展開しています。

また、彼は「ユーリ・バシュメット国際ヴィオラ・コンクール」を主宰しており、若いヴィオラ奏者を育成するための活動にも注力しています。モスクワ音楽院での後進指導も行い、次世代の音楽家たちに自らの経験と知識を伝えています。

レパートリーと演奏スタイル

バシュメットのレパートリーは幅広く、ブラームスの交響曲第3番やチャイコフスキーの交響曲第5・6番、さらにはベルリオーズの「幻想交響曲」などを含んでいます。また、シュニトケやカンチェリなど現代音楽の初演も数多く果たしており、他の楽器からの編曲作品の演奏にも取り組んでいます。時にはヴァイオリンも演奏することがありますが、ヴィオラ奏者としての主要なレパートリーであるヒンデミットの作品はあまり演奏していません。

使用楽器

彼が使用する楽器は、1758年製のパウロ・アントニオ・テストーレです。この楽器は、モーツァルトが使用していたヴィオラと同じタイプで、彼の演奏スタイルに応じた特別な響きを持つものです。

著書

バシュメットは音楽に関する著書も発表しており、『夢の駅』という作品が知られています。


彼の音楽活動は多岐にわたり、各国でのコンサートや指揮活動を通じて、ヴィオラの魅力を広め続けています。

もう一度検索