ブッポウソウ

ブッポウソウ

日本に夏鳥として訪れるブッポウソウは、ブッポウソウ目ブッポウソウ科に分類される美しい鳥です。別名「三宝鳥」とも呼ばれています。その名の響きとは異なる、興味深い鳴き声の歴史を持っています。

鮮やかな姿

体長は約30センチメートル。オス、メスともに同じ色合いで、頭は黒褐色、尾羽と翼の大部分は黒色です。特に目を引くのは、のど元の鮮やかな群青色と、光沢のある青い体羽です。この体羽は、光の当たり具合で緑がかって見えることもあります。翼を広げると、初列風切羽の中央にある白い斑紋がよく目立ちます。嘴と脚は、赤橙色をしています。

日本への飛来と生息環境

ブッポウソウはユーラシア大陸東部やオーストラリアで繁殖し、日本には夏鳥として渡来します。本州の中部以南、四国、九州などで子育てを行い、冬は東南アジアへ移動します。日本では、平地から山地の水辺に近い森林に生息し、特に山間部のスギやヒノキなどの大木の高い場所を好みます。巣は木の洞を使いますが、鉄橋の穴や使われなくなった木製の電柱、ダムの排水溝といった人工物を利用することもあります。

食事と狩りのスタイル

主な食べ物は昆虫などの動物です。飛んでいる昆虫を空中で捕まえるのが得意で、高木の枝や谷間を渡る高圧線などに止まって獲物を探します。見つけた獲物に対しては、そこから素早く飛び立って捕まえ、成功・失敗にかかわらず元の場所に戻るという、ヒタキの仲間に似た狩りの行動を繰り返します。

繁殖の習性

一度に4から6個の卵を産みます。巣の中やその周りには、貝殻やガラス片、金属片といった光沢のあるものを集めるというユニークな習性があることが知られています。これは、孵化した雛がこれらの硬いものを飲み込み、消化器官の一部である砂嚢に入れて昆虫の硬い殻をすりつぶすのを助けるためだと考えられています。親鳥は雛のために意図的に与えているのですね。

名前の由来と真実

ブッポウソウという名は、かつて森で夜に聞こえる「ブッ・ポウ・ソウ」という神秘的な鳴き声がこの鳥のものだと信じられていたことに由来します。しかし、実際にブッポウソウの鳴き声を観察すると、飛ぶ時に「ゲッゲッゲッ」という濁った音、急降下する際には「げっけけけけ」といった、全く異なるものです。この鳴き声の正体は長年謎とされていましたが、1935年、ラジオ中継をきっかけとした調査により、フクロウの仲間であるコノハズクの声であったことが判明しました。この発見は、実に1000年にもわたる誤解を解き明かすものでした。

霊鳥から絶滅危惧種へ

美しい姿から、古くは寺社の森などで霊鳥として大切にされてきたブッポウソウ。山梨県身延町や岐阜県美濃市など、いくつかの繁殖地は国の天然記念物に指定されています。しかし、近年、全国的に数が減っており、日本の環境省のレッドリストでは、絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類（EN）に指定されています。広島県や岡山県、長野県天龍村などでは、巣箱を設置するなど、地域ぐるみでの保護活動が進められており、個体数が回復しつつある地域も見られます。

まとめ

ブッポウソウは、鮮烈な色彩と、その名に秘められた意外な物語を持つ鳥です。かつての霊鳥が直面する減少という課題に対し、人々の保護活動が希望をもたらしています。日本の夏の森で、その美しい姿を見かける機会が増えることを願うばかりです。

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