ブヤル・ニシャニ

ブヤル・ファイク・ニシャニ：アルバニアの政治家、元大統領

ブヤル・ファイク・ニシャニ（Bujar Faik Nishani、1966年9月29日 - 2022年5月28日）は、アルバニアの政治家であり、2012年7月から2017年7月まで同国の大統領を務めました。

生涯と経歴

ドゥラスで生まれたニシャニは、1988年にスカンデルベグ軍事学院を卒業後、1996年に渡米し、テキサス州サンアントニオとカリフォルニア州で学びました。2004年にはティラナ大学法学部を卒業し、欧州研究で修士号を取得しています。

政治家としては、1991年にアルバニア民主党に入党。国防省で対外関係を担当した後、外務省のNATO関係局長を務めました。1996年には国防相に任命されています。1997年の議会選で民主党が敗北すると失職し、NGOの代表となりましたが、2001年にはティラナの民主党支部事務局長に選出され、2004年にはティラナ市議会議員に就任しました。

2005年の選挙では、首都の第34選挙区で警察・治安相のイグリ・トスカを破り、国会議員に当選。国会の国家安全保障委員長を経て、サリ・ベリシャ首相から内相に抜擢され、再選後の2009年9月には司法相に指名されました。2011年には、ルルジム・バシャに代わって再び内相に就任しています。

2012年、ニシャニは大統領選挙に出馬するため内相を辞任。国会で行われた選挙で、140票のうち73票の単独過半数を獲得し、大統領に選出されました。2017年7月24日に1期で退任しています。

大統領としての課題と評価

ニシャニが大統領在任中、アルバニアは様々な課題に直面しました。政治的な不安定さ、経済的な困難、そしてEU加盟に向けた改革の推進など、多くの課題に取り組む必要がありました。彼は、国内の政治的対立を緩和し、法の支配を強化するための努力を続けました。また、アルバニアの国際的な地位向上にも尽力し、EU加盟交渉の進展を促進しました。

しかし、ニシャニのリーダーシップに対する評価は分かれています。一部からは、彼の政策が国内の構造的な問題を解決するには不十分であったという批判もあります。一方で、彼は誠実で献身的な政治家として評価されており、その努力はアルバニアの民主主義と発展に貢献したとされています。

人物像と晩年

ニシャニは、オデタ・ニシャニと結婚し、二児をもうけました。以前から肺に感染した自己免疫疾患に苦しんでおり、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)に感染した際に病状が悪化。2022年5月28日、療養先のドイツの病院で死去しました。55歳でした。

ニシャニは、運動器官の障害により左半身を動かすことができませんでしたが、そのハンディキャップを乗り越え、政治家として重要な役割を果たしました。彼の生涯は、困難に立ち向かい、社会に貢献することの重要性を示しています。

まとめ

ブヤル・ファイク・ニシャニは、アルバニアの政治において重要な役割を果たした人物です。国会議員、内務大臣、そして大統領として、アルバニアの発展に貢献しました。彼の死は、アルバニア社会にとって大きな損失であり、その功績は長く記憶されることでしょう。

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