ブライアン・ハバナ

ブライアン・ハバナ（Bryan Gary Habana）は、1983年6月12日に南アフリカ共和国で生まれた元ラグビー選手です。驚異的なスピードを武器に、ウィングとして世界最高峰の選手の一人として活躍しました。

華々しい国際舞台での幕開け

彼の代表キャリアは、2004年に対イングランド代表戦で始まりました。この試合でスプリングボクスとしての初キャップを獲得し、交代出場ながら初トライを記録。チームは敗れたものの、その潜在能力を示しました。翌週のスコットランド戦では初めて先発メンバーに名を連ね、2トライを挙げる活躍でチームの勝利に貢献。この年は国際試合3試合で3トライを挙げました。

世界トップ選手への飛躍

2005年、ハバナはライオンズからブルズへクラブを移籍しました。この年のテストマッチでは目覚ましい活躍を見せ、特に春のテストシリーズではウルグアイ戦で2トライ、フランス戦では2試合でそれぞれ2トライを挙げるなど、3試合で合計6トライを記録。トライネイションズでも5試合で6トライを奪いました。年間を通して12試合に出場し、12トライという驚異的な決定力を見せ、南アフリカの年間最優秀選手に選ばれました。また、世界最優秀選手にもノミネートされるなど、その名を世界に知らしめました。

翌2006年は、国際試合10試合で2トライと前年から成績を落としましたが、アイルランドとの協会100周年記念試合では、慣れない13番（アウトサイドセンター）で出場しトライを奪う場面もありました。

ワールドカップでの伝説

2007年はハバナのキャリアにとって記念すべき年となりました。所属するブルズではスーパー14（現スーパーラグビー）でチームを初の優勝に導き、決勝では決勝トライを挙げる活躍を見せました。そして、ラグビーワールドカップ2007に初選出。世界最高峰の舞台でその真価を発揮します。初戦のサモア戦で4トライを皮切りに、プールステージ最終戦のアメリカ戦で2トライ、準決勝のアルゼンチン戦でも2トライを挙げ、合計8トライを記録。ニュージーランドの伝説的ウィング、ジョナ・ロムーが持つW杯1大会最多トライ記録に並び、大会トライ王を獲得しました。彼の爆発的なトライ量産は、南アフリカ代表の2度目のワールドカップ優勝に大きく貢献しました。この年の国際試合では11試合で13トライを挙げ、その活躍が認められ、ワールドラグビー年間最優秀選手に選出されました。また、この年にはチーターと競争するというエキシビションも行い、そのスピードが話題となりました。

キャリア中盤と記録樹立

W杯優勝後、2008年は相手チームからの厳しいマークに苦しみ、国際試合10試合で2トライにとどまりました。しかし、2009年にはブルズで再びスーパー14優勝に貢献。シーズン11試合で8トライを挙げ、トライランキング2位となる活躍を見せました。国際舞台でもブリティッシュ＆アイリッシュ・ライオンズとのテストシリーズに出場し、1トライを記録。ニュージーランド代表オールブラックスとの一戦では、記念すべき代表通算50キャップを達成しました。この年の代表成績は11試合で4トライでした。

2010年には、ブルズからストーマーズへ移籍。ストーマーズのスーパー14準優勝に貢献しました。決勝では古巣ブルズ相手にトライを挙げましたが、チームは敗れました。代表では国際試合10試合で2トライの成績でした。

2011年は2度目のワールドカップ（W杯2011）に出場。プールステージのナミビア戦で代表通算39トライ目を挙げ、先輩であるヨースト・ファン・デル・ヴェストハイゼンの持つ記録を塗り替え、スプリングボクス歴代最多トライ記録保持者となりました。この年は国際試合6試合で2トライでした。

ヨーロッパへの挑戦、そして引退

2013年、ハバナはフランスのプロリーグ、トップ14に参戦するRCトゥーロンへの移籍を発表しました。ヨーロッパの舞台でもそのスピードとトライ嗅覚を発揮し、チームのタイトル獲得に貢献しました。2018年、長年にわたる輝かしいキャリアに幕を下ろし、現役引退を発表しました。

現役引退後もラグビー界との関わりを持ち、2022年にはIRPA（国際ラグビー選手協会）特別賞を受賞しています。

南アフリカ代表としての歴代最多トライ記録やワールドカップでの圧倒的なパフォーマンスなど、数々の伝説を打ち立てたブライアン・ハバナは、ラグビー史にその名を刻む偉大なウィングです。

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