ブライアン・ユズナ

1949年 8月30日生まれ、アメリカ合衆国の映画製作者。

プロデューサー、映画監督、脚本家として、主にホラーやサイエンス・フィクションといったジャンル映画の世界で重要な足跡を残しています。

そのキャリアは、友人であるスチュアート・ゴードン監督との協力から始まりました。ゴードン監督の代表作である『ZOMBIO/死霊のしたたり|ZOMBIO_死霊のしたたり』（1985年）、『フロム・ビヨンド』（1986年）など、カルト的な人気を誇る作品でプロデューサーを務め、制作面から深く関わりました。

特に『フロム・ビヨンド』では共同脚本も担当し、物語創造にも携わっています。また、ホラーとは対照的に、コメディ映画のヒット作『ミクロキッズ』（1989年）では共同脚本家の一人としてクレジットされています。

監督としては、1989年に公開された『ソサエティー』でデビューを飾りました。この作品は、一見すると普通のビバリーヒルズの富裕層社会を描きながら、その裏に潜む階級間の搾取をグロテスクなボディ・ホラーとして表現した、痛烈な風刺に満ちた異色の作品として評価されています。

監督デビュー後もホラー映画の制作に積極的に取り組み、『死霊のしたたり』シリーズの続編（『死霊のしたたり2』、『新死霊のしたたり』）や、『バタリアンリターンズ』（1993年）、歯科医が主人公の残虐ホラー『デンティスト』（1996年）とその続編『キラー・デンティスト』（1998年）など、ジャンルファンを喜ばせる作品を次々と手がけました。

ユズナの活動はアメリカ国内に留まらず、ヨーロッパ、特にスペインで多くの支持を集めました。2000年代初頭には、バルセロナのフィルマックス社内に、フリオ・フェルナンデスと共に「ファンタスティック・ファクトリー」というレーベルを設立。このレーベルは、世界各国の才能あるジャンル映画監督を発掘し、低予算ながらも国際市場に向けた質の高いホラー・SF・ファンタジー映画を英語で製作することを目指しました。この活動は、地域の映画製作を活性化させることにも貢献しています。

プロデューサーとしては、リチャード・ラーフォースト監督のゾンビ映画企画『Worst Case Scenario』（後の『武器人間』）にも関わりましたが、このプロジェクトは一度頓挫しています。その後、2010年には監督として復帰作となる『シー・トレマーズ』を制作。

ユズナは、日本人漫画家・高屋良樹の代表作『強殖装甲ガイバー』をアメリカ人監督として初めて実写映画化した人物としても知られています（1991年製作の『GUYVER』）。また、クトゥルフ神話で知られるH・P・ラヴクラフトの作品の映画化にも熱心に取り組み、『フロム・ビヨンド』や『DAGON』、『ネクロノミカン』といった作品を世に送り出しました。

映画業界における長年の功績が認められ、2014年にはバルセロナのカタルーニャ映画アカデミー名誉会員に選出されています。同年には、彼の代表作の一つである『ミクロキッズ』の公開25周年記念イベントがハリウッドで開催され、主賓として招かれました。さらに2015年には、彼の30年にわたるキャリアを振り返る回顧展「Brian Yuzna, A Retrospective」がロサンゼルスで開催されるなど、その業績は現在も高く評価されています。

生い立ちと私生活

ユズナはフィリピンのマニラで、アメリカ人の両親のもとに生まれました。幼少期はニカラグア、プエルトリコ、パナマなど中南米を転々としながら育ち、1960年代にアメリカへ帰国しアトランタに定住しました。カトリックの家庭で育ち、1970年代にはノースカロライナ州で共同体生活を送りながら、大工やレストランでの雑用といった様々な仕事に就いていました。

私生活では、出演作もある女優キャシー・チェリー・ユズナと結婚し、4人の子供をもうけています。子供たち（コナン、ゾーイ、ノア、ローガン）や妻は、ユズナが関わった映画作品にエキストラ出演することもありました。また、以前の交際相手との間に娘が一人います。息子の一人、ローガン・ユズナは2015年の回顧展のプロデュースを手がけるなど、親子で映画に関わる活動も行っています。

ブライアン・ユズナは、ホラーとSFジャンルの境界を押し広げ、新人監督の育成にも貢献しながら、独自の視点と表現で異形の作品群を生み出し続けています。

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