ブライス交差点の戦い

ブライス交差点の戦い

ブライス交差点の戦いは、1864年6月10日にミシシッピ州リー郡のボールドウィン近郊で発生した、南北戦争における重要な戦闘の一つです。南軍のネイサン・ベッドフォード・フォレスト少将が率いる約4,800名の部隊が、北軍のサミュエル・D・スタージス准将が率いる約8,100名の部隊と激突しました。この戦闘は、南軍の圧倒的な勝利に終わり、フォレストは卓越した騎兵指揮官としての名声を確立しました。

背景

当時、北軍のウィリアム・シャーマン少将は、フォレストの騎兵隊による破壊活動が、テネシー州への補給線を脅かしていることを懸念していました。このため、スタージス准将にフォレストの部隊を撃破するよう命じました。スタージスは6月1日にテネシー州メンフィスを出発しましたが、南軍のスティーブン・D・リー少将は、スタージス軍の動きを察知し、フォレストに警告しました。

フォレストは当初、北軍の意図を掴めませんでしたが、彼らがテューペロを目標としていると推測しました。自軍が劣勢であることを認識しつつも、フォレストはリー将軍の到着を待つよりも、スタージス軍を迎え撃つ決断をしました。彼はブライス交差点を選び、深い森や泥道、そしてティショミンゴ・クリークといった地形を利用して、北軍を迎え撃つための準備をしました。

戦闘

6月10日午前9時45分、北軍の騎兵隊がブライス交差点に到着し、戦闘が開始されました。フォレストは一部の部隊で敵を引きつけつつ、交差点周辺に他の部隊を集結させました。午前11時半頃には、南軍の猛攻により北軍の騎兵隊は後退を始め、スタージスは歩兵部隊に応援を要請しました。

午後1時半、北軍歩兵隊が到着し前線を形成しましたが、フォレストは北軍歩兵部隊が完全に集結する前に攻撃を開始しました。フォレストは自軍の砲兵隊を前進させ、近距離から北軍に葡萄弾を浴びせました。この攻撃により北軍は大きな損害を被り、半円状の防御線を形成しました。

午後3時半、南軍の騎兵隊がティショミンゴ川の橋を攻撃しましたが、これは失敗に終わりました。しかし、この攻撃は北軍に混乱を引き起こし、スタージスは全軍に退却を命じました。退却は橋でボトルネックとなり、北軍は恐慌状態に陥りました。混乱した退却と追撃はメンフィスまで続き、南軍は疲弊しきったため追撃を中止しました。

戦闘後

この戦闘で、南軍は492名の損失を出したのに対し、北軍は2,164名（うち1,500名が捕虜）もの損失を被りました。フォレストは、大量の武器、大砲、弾薬、物資を獲得しました。スタージスは降格され、遠く西部に左遷されました。戦後、北軍はフォレストが黒人兵を虐殺したと非難しましたが、歴史家はこの主張が不当であると考えています。

戦場跡

現在、ブライス交差点の戦場跡は、ブライス交差点国立戦場史跡として保存されています。国立公園局は、交差点周辺に記念碑や説明板を設置し、維持管理を行っています。また、ブライス交差点博物館が近隣のボールドウィンにあります。戦場跡は南北戦争の戦場の中でも、最も美しく保存された場所の一つとされています。

1994年、地元の市民がブライス交差点国立戦場委員会を設立し、戦場跡の保存と拡大に取り組んでいます。連邦政府、州政府、地元自治体の支援に加え、南北戦争保存信託の援助も得て、委員会は戦場跡の800エーカー以上を保存しました。また、ベサニー長老派協会やベサニー墓地も、戦場跡の一部として残されています。

ブライス交差点の道路は、ボールドウィン、トゥーペロ、リプリー、ポントトックに通じており、今日も主要道路として利用されています。

関連項目

西部戦線 (南北戦争)

参考文献

National Park Service battle description

外部リンク

* Brice's Crossroads website

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