スティーブン・D・リー

スティーブン・ディル・リーの生涯

スティーブン・ディル・リー（1833年9月22日 - 1908年5月28日）は、アメリカ南北戦争における南軍の将軍であり、戦後は教育者、政治家として活躍しました。彼は南軍で最も若い中将であり、その多才な能力とリーダーシップは、軍事のみならず、社会においても高く評価されました。

生い立ちと初期の軍歴

リーはサウスカロライナ州チャールストンで、名門の家系に生まれました。1854年に陸軍士官学校を卒業後、砲兵隊の中尉として7年間勤務しました。しかし、故郷の州が合衆国を脱退した1861年に軍を辞任し、南軍に参加することになります。

南北戦争での活躍

南軍に入隊後、リーは砲兵隊の大尉としてキャリアをスタートさせ、P・G・T・ボーリガード准将の副官を務めました。1861年4月には、サムター要塞への降伏勧告を北軍に伝えるという重要な役割を担い、これが南北戦争の開始につながりました。

戦争中、リーは急速に昇進を重ね、1862年には中佐、続いて大佐に昇進し、北バージニア軍で砲兵隊を指揮しました。彼は半島作戦や七日間の戦いなど、数々の重要な戦闘に参加しました。アンティータムの戦いでは、ダンカー教会付近の陣地を守り抜き、その勇猛さが際立ちました。

1862年11月には准将に昇進し、ミシシッピ州ヴィックスバーグで砲兵隊の指揮を執りました。彼は、チャンピオンヒルの戦いで負傷するものの、ヴィックスバーグが陥落するまで戦い続けました。捕虜になった後、すぐに仮釈放され、後に捕虜交換の対象となりました。1863年8月には少将に昇進しています。

リーは、砲兵だけでなく、騎兵や歩兵の指揮も執り、その多才ぶりを発揮しました。1864年には、南西戦線で騎兵隊を指揮し、メリディアンの戦いでは北軍の進軍を一時的に阻止しました。同年6月には、南軍で最も若い中将となり、ネイサン・ベッドフォード・フォレスト少将の部隊を支援し、ブライス交差点の戦いで大勝利を収めました。しかし、トゥーペロの戦いでは北軍に敗れ、シャーマン軍の補給線を確保されてしまいました。アトランタ方面作戦では、エズラ教会の戦いやジョーンズバラの戦いに参加し、フランクリン・ナッシュビル方面作戦では、第二次フランクリンの戦いやナッシュビルの戦いで戦いました。スプリングヒルの戦いでは足を負傷しましたが、最後まで部隊を指揮しました。戦後、カロライナ方面作戦に参加し、1865年4月にジョンストン将軍と共に降伏しました。

戦後の活動

戦後、リーはミシシッピ州で農園経営に携わりました。1880年から1899年まで、ミシシッピ州A&M大学（現在のミシシッピ州立大学）の初代学長を務め、教育分野にも貢献しました。また、州上院議員を務めた後、アメリカ連合国退役兵会の活動家となり、その死の際には総司令官を務めました。

リーは、女性の権利促進や歴史に関する著作活動にも力を入れ、特にヴィックスバーグ戦場の保存に尽力しました。彼の功績は、ビックスバーグ国立軍事公園の彫像やミシシッピ州立大学の胸像によって記念されています。また、いくつかの退役軍人会キャンプも彼の名を冠しています。

スティーブン・ディル・リーは、軍人、教育者、政治家として、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、アメリカの歴史に名を刻みました。彼の生涯は、困難な時代におけるリーダーシップと、その後の社会貢献の重要性を物語っています。

参考文献

Eicher, John H., and Eicher, David J., Civil War High Commands, Stanford University Press, 2001, ISBN 0-8047-3641-3.
Warner, Ezra J., Generals in Gray: Lives of the Confederate Commanders, Louisiana State University Press, 1959, ISBN 0-8071-0823-5.

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