ブラウフレンキッシュ

ブラウフレンキッシュ：スパイシーな赤ワインを生むブドウ品種

ブラウフレンキッシュ（Blaufränkisch）は、暗色の果皮を持つ赤ワイン用のブドウ品種で、「青いフランクのブドウ」という意味を持ちます。晩生品種であり、タンニンが豊富でスパイシーな特徴を持つ赤ワインを生み出します。

主な栽培地域

ブラウフレンキッシュは、中央ヨーロッパを中心に広く栽培されています。主な栽培国は以下の通りです。

オーストリア
チェコ（フランコフカ）
ドイツ
スロバキア（フランコフカ・モドラ）
クロアチア
セルビア（フランコフカ）
スロベニア（モドラ・フランキーニャ）
イタリア（フランコニア）
* ハンガリー（ケークフランコシュ）

東ヨーロッパでの普及と評判から、「東のピノ・ノワール」と呼ばれることもあります。アメリカでは、アイダホ州、ワシントン州、ニューヨーク州のフィンガーレイクス周辺で栽培されており、レンベルガーなどの名前で知られています。

起源と歴史

DNA型鑑定により、ブラウフレンキッシュはグーエ・ブランとブラウ・ツィメートトラウベの交配種であることが判明しています。品種の起源は、スロベニアのシュタイエルスカ地方であると考えられています。

かつてはガメ種のクローンと誤解されていましたが、DNA分析により否定されました。ドイツ語名のレンベルガーは、スロベニアのレンベルク・プリ・シュマリエからドイツに輸出されたことに由来します。

ブラウフレンキッシュが公式文書に初めて登場したのは1862年ですが、その存在は中世に遡ると考えられています。フレンキッシュという名称は、ドイツのフランケン地方に由来し、中世には高品質なワインを生産できるブドウを指していました。

フランケン地方との関係は深いものの、ブドウ品種学者はダルマチアからオーストリア、ハンガリーにかけての地域が起源である可能性が高いと考えています。DNA分析では、ハンガリーのケークフランコシュがブラウフレンキッシュと同種であることが示唆されています。

ブドウ栽培

ブラウフレンキッシュは、早春の霜に弱く、晩生熟成品種です。うどんこ病やべと病に対する抵抗性が低いという課題があります。比較的容易に高収量が得られるブドウですが、収量が高すぎると品質が低下する傾向があります。

ワインのスタイル

ブラウフレンキッシュから作られるワインは、濃い色の果実の香りを持ち、胡椒のようなスパイシーな香りと高い酸味が特徴です。樽熟成を行うことで、よりフルボディなワインになります。

食事との相性

ブラウフレンキッシュは、ラム肉や焼き肉料理と良く合います。濃い熟したチェリーとダークベリーのアロマ、スパイシーさ、中程度のタンニンが、これらの料理の風味を引き立てます。

その他のヨーロッパの生産地

ドイツではヴュルテンベルク地域で主に栽培され、オーストリアよりもライトボディのワインが作られる傾向があります。チェコやスロバキアでも重要な品種であり、それぞれフランコフカ、フランコフカ・モドラとして知られています。ハンガリーではケークフランコシュとして、エグリ・ビカベールなどのワインに使用されています。

ニューワールドでの栽培

ブラウフレンキッシュは、アメリカ、オーストラリア、カナダなどでも栽培されています。ワシントン州ではレンベルガーとして知られ、多様なスタイルのワインが生産されています。

品種改良

ブラウフレンキッシュは、ツヴァイゲルト、アンドレ、ブラウブルガーなど、多くの品種の親となっています。これらの品種は、ブラウフレンキッシュの特性を受け継ぎつつ、独自の個性を持っています。

ブラウフレンキッシュは、そのスパイシーな風味と豊かなタンニンにより、個性的な赤ワインを生み出すブドウ品種です。中央ヨーロッパを中心に世界中で栽培されており、その多様なスタイルが楽しまれています。

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