ブラジルの政党

ブラジルの政党

ブラジルにおける政党の歴史は、その政治体制の変遷と深く結びついています。エスタード・ノーヴォ体制下での政党解体、民主化後の政党結成、軍事政権による二大政党制への移行、そして複数政党制への移行という流れを見ていきましょう。

歴史

エスタード・ノーヴォ体制下での政党解体

1937年、ジェトゥリオ・ヴァルガス大統領によるクーデターにより、エスタード・ノーヴォ（新体制）が成立し、既存の政党は全て解体されました。これにより、ブラジルの政党政治は一時的に中断されました。

民主化後の政党結成

第二次世界大戦後、民主主義復活の声が高まる中、1945年にヴァルガス大統領が選挙実施を表明。これを受けて、国民民主同盟（UDN）などの政党が結成されました。政府与党としては社会民主党（PSD）とブラジル労働党（PTB）が作られ、その他にも地方色の強い少数政党が多数生まれました。

軍事政権下の二大政党制

1964年の軍事クーデター後、カステロ・ブランコ政権は軍政令によって政党を再編し、与党の国家革新同盟（ARENA）と体制内野党のブラジル民主運動（MDB）のみを認めました。これにより、ブラジルは形式的な二大政党制へと移行しました。

複数政党制への移行

1970年代後半になると、政府主導による政治の自由化と民衆からの民主化運動の高まりを受け、民主的な政治制度が整備されました。1979年にジョアン・フィゲイレド大統領の下で政党法が改正され、政党結成が自由化された結果、複数政党制が実現しました。

政党改革後の政党

政党法改正後、ARENAとMDBは分裂し、新たな政党が次々と生まれました。また、労働運動を基盤とする労働者党（PT）のような新しい政治勢力も登場しました。2014年5月時点で、選挙最高裁判所に登録されている政党は32に上り、連邦下院には22政党が議席を有しています。

連立政権の必要性

議会で単独過半数を有する政党が存在しないため、複数の政党による連立政権が不可欠となっています。しかし、各政党の支持基盤や政治理念は必ずしも明確ではなく、有力政治家の下に結集する名望家政党や幹部政党の色彩が強いのが現状です。

現在の政党

選挙最高裁判所に登録されている政党は多数存在します。政党として正式に登録されるには、市民の署名を集めた政治綱領と規定を選挙最高裁判所に仮登録した後、1年以内に党大会を実施し、最低9州での5分の1の市町村で役員を選出する必要があります。

まとめ

ブラジルの政党政治は、歴史的な変遷を経て現在の形に至っています。軍事政権下の二大政党制から複数政党制への移行、そして多数の政党が連立政権を組むという現状は、ブラジルの政治を理解する上で重要な要素です。

参考文献

ラテンアメリカ協会編『ラテンアメリカ事典　1984年版』社団法人ラテンアメリカ協会
松下洋・遅野井茂雄編『1980年代ラテンアメリカの民主化』アジア経済研究所
遅野井茂雄・宇佐見耕一編『21世紀ラテンアメリカの左派政権・虚像と実像』アジア経済研究所IDE-JETRO
ブラジル日本商工会議所編『現代ブラジル事典』（新評論社、2005年）

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