ブラジルの鉄道

ブラジルの鉄道：歴史、現状、そして未来

ブラジルの鉄道は1850年代に始まりました。当初は様々な民間企業が運営していましたが、1957年に多くの路線が国有化され、ブラジル連邦鉄道が設立されました。しかし、自動車交通の発展や経営問題により、1980年代から2000年代にかけて連邦鉄道は段階的に解体され、現在は民間や公営の複数の企業が鉄道を運営しています。

軌間

ブラジルでは、4種類の軌間が使用されています。

広軌（アイルランド軌間, 1,600mm）：4,057km。ベロオリゾンチ、ブラジリア、ポルトアレグレ、レシフェ、リオデジャネイロ、サンパウロなどの都市鉄道や近郊鉄道で利用されています。
狭軌（メーターゲージ, 1,000mm）：23,489km。フォルタレーザ、レシフェ、サルヴァドール、カリリ、テレジナ、マセイオ、ナタルなどの都市鉄道や近郊鉄道、地方路線で広く使用されています。
三線軌条（1,000mmと1,600mm）：336km。異なる軌間の路線を接続する役割を担っています。
標準軌（1,435mm）：202.4km。サンパウロ、サルヴァドールなどの地下鉄やライトレールの一部路線で使用されています。

かつては752mmの軌間も存在しましたが、現在は保存鉄道として一部が残っているのみです。総延長は約27,882kmで、そのうち1,122kmが電化されています。（都市間鉄道を除く）

都市鉄道

ブラジルには多くの都市鉄道、地下鉄、近郊鉄道が存在します。サンパウロ、リオデジャネイロ、ブラジリアなど主要都市には大規模な地下鉄網が整備されています。その他、各都市圏で近郊鉄道やライトレールが運行されています。かつては多くの路面電車が運行されていましたが、1980年代以降は多くの路線が廃止され、現在では数路線が保存鉄道として運行されています。

路面電車の歴史

ブラジルは、世界で5番目に大きい国でありながら、100路線もの路面電車網を有していました。これは他のラテンアメリカ諸国の路面電車網の合計数に匹敵する規模でした。リオデジャネイロでは、1859年に世界でも早い段階で路面電車の実験が行われ、蒸気機関車や馬車、そして後に電気による路面電車が運行されました。ニテロイでは蓄電池による路面電車の運行に成功しています。ブラジルはアメリカ大陸でアメリカ合衆国に次ぐ規模の路面電車網を有し、世界最大の外国資本による路面鉄道も存在しました。現在では、リオデジャネイロ、サンパウロ、カンピーナスなどで、一部路線が保存鉄道として運行されています。

将来展望

ブラジルでは、鉄道の近代化に向けた取り組みが進められています。

高速鉄道：2008年には、ワールドカップ開催を機にサンパウロ、リオデジャネイロ、カンピナスを結ぶ高速鉄道計画が発表されましたが、実現には至っていません。
新規貨物路線：農産物輸送のための新たな貨物路線の建設が提案されています。
* 軌間変更：広軌路線を標準軌へ変更する計画も検討されています。

しかし、近隣諸国との鉄道連絡は現状ありません。

沿革

ブラジル連邦鉄道設立以前は、ブラジル中央鉄道、オエステ・デ・ミナス鉄道、リオ・デオウロ鉄道、サンパウロ鉄道、サントス＝ジュンジアイ鉄道、ソロカバナ鉄道など多くの民間鉄道会社が存在しました。これらの鉄道会社は、コーヒー豆などの農産物の輸送を担う重要な役割を果たしていました。これらの多くはイギリス資本の参入が深く関与しており、技術や資金面での協力がありました。日系ブラジル人の間では、ブラジル中央鉄道は「セントラル線」、ソロカバナ鉄道は「ソロカバ線」と呼ばれていました。

ブラジル連邦鉄道は、これらの民間鉄道会社を国有化して設立されましたが、その後は経営難から民営化、そして解体へと至りました。

ブラジルの鉄道は、歴史的、地理的要因から複雑な発展を遂げてきました。今後の近代化計画や国際的な連携がどのように進展するのか、注目されます。

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