ブラストビート

ブラストビートとは

ブラストビートは主にエクストリーム・メタルジャンルで使用されるドラムビートの一種です。この演奏スタイルは、バスドラムとスネアドラムを交互または同時に高速で叩くことによって生み出されるリズムが特徴です。その音はまるでマシンガンの発射音のようで、爆風が感じられる迫力があります。演奏者たちは人間が叩ける速さの限界に挑戦するかのようなスタイルで演奏します。

歴史的背景

ブラストビートの起源は、1960年代から1970年代のジャズドラマーの技術にさかのぼります。特にトニー・ウィリアムスやサニー・マレイなどの演奏にその原型が見られます。オールミュージックガイドの寄稿者であるトム・ユーレクは、ウィリアムスがブラストビートの真の発明者であると評価しています。

ハードコア・パンクにおけるブラストビートのルーツは、D.R.I.の1983年の楽曲「No Sense」や、ビースティ・ボーイズの「Pollywog Stew」に収録された「Riot Fight」などに見ることができます。これらのバンドは、パワー・ヴァイオレンスやスラッシュコア、クラストコア等のスタイルにおいても顕著に表現されており、デスメタルやブラック・メタルでも多く見られます。

メタルにおけるブラストビートの発展に寄与したドラマーには、デイヴ・ロンバード（スレイヤー）、デイヴ・グレイヴ・ホリングスヘッド（リバルジョン）、チャーリー・ベナンテ（アンスラックス、SOD）などがいます。また、デスのドラマー、キャム・リーも初期のデス音楽で独自のスタイルを披露しました。

特徴的な技術

初期のブラストビートは、現代に比べて速さや正確さに欠けていましたが、現在では一般的に180bpm以上で演奏されます。演奏技術の一つとして「グラヴィティ・ブラスト」と呼ばれるスタイルがあり、スネアのリムを支点として片手でスネアを2回叩くことが特徴です。

ブラストビートは、バスドラムとスネアドラムが交互に入れ替わり、低音のリズムにシンバルを加えたパターンで構成されます。また、プログレッシブな楽曲では不規則なタイミングが使われ、さまざまな種類のシンバルをアクセントとして利用することがあります。

演奏においては、一部のドラマーは片足だけでブラストビートを演奏することを好みます。両足を使用すると、正確な演奏が難しくなるためです。例えば、ジョージ・コリアスなどのドラマーはこのスタイルを選択します。

日本における影響

日本でも、SxOxBやROSEROSEなどのバンドが早くからブラストビートを取り入れ、夏目陽一郎（Force）、アイアンフィスト辰嶋（Die You Bastard!）、坂田（324）などがこの技術に秀でたドラマーとして知られています。これにより、ブラストビートは世界中で普及し、多くの音楽ジャンルで取り入れられるようになりました。

ブラストビートは、エクストリーム・メタルやその派生音楽において、力強さと技術の象徴としてその存在を確立しています。

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