ブラックタイガー (宇宙戦艦ヤマト)

ブラックタイガーとコスモファルコン：宇宙戦艦ヤマトを支えた戦闘機

アニメ『宇宙戦艦ヤマト』シリーズに登場する戦闘機「ブラックタイガー」とそのリメイク機「コスモファルコン」は、地球防衛軍の戦力として重要な役割を果たしました。本稿では、両機の開発経緯、デザイン、性能、そして作品における描写を中心に、その詳細を解説します。

ブラックタイガー：ヤマトの象徴的な艦載機

黄色と黒を基調とした大胆なカラーリングと、コックピット両脇の眼型マーキングが特徴的なブラックタイガーは、『宇宙戦艦ヤマト』第1作におけるヤマトの主力艦載機でした。ガミラスの偵察機を追い詰めることすら困難だった地球製航空機とは異なり、イスカンダルからの高度な技術によって、ガミラスの戦闘機と互角以上に渡り合える性能を誇っていました。

その機体形状は無尾翼デルタ型で、後のコスモゼロやコスモタイガーIIにも受け継がれる特徴的なデザインです。武装は主翼付け根付近に6門のパルスレーザー砲を装備していました。バンダイのプラモデルでは翼下にタンクが追加されているものの、アニメの設定画や劇中では確認できません。

『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』以降の作品では、後継機のコスモタイガーIIが登場したため、ブラックタイガーは姿を消しました。実は、当初ヤマトの主力艦載機はコスモゼロでしたが、作画の簡略化のため、より単純なデザインのブラックタイガーが新たに設定されたという経緯があります。制作過程では、原画担当者への指示不足などから、ブラックタイガーがコスモゼロとして描かれてしまったシーンも存在します。また、機首下部に描かれる予定だったシャークマウスは、最終的に白一色に変更され、初期の作画ではその名残が見られる場面も確認できます。

小説『宇宙戦艦ヤマト黎明篇アクエリアス・アルゴリズム』では、ブラックタイガーの出自に関する新たな設定が追加されています。それによると、地球防衛軍初の宇宙戦闘機として「コスモタイガーI」が存在し、イスカンダルへの航海に際して、新技術を導入し性能と量産性を向上させた改良型がブラックタイガーだったというのです。部隊の色からその名がついたという説も提示されています。

ひおあきら版の漫画『宇宙戦艦ヤマト』では、「重戦」と呼ばれ、アニメ版とほぼ同じ形状と武装ながら、派手な色分けや模様は省略されています。作品後半から登場し、その数は40機にものぼったとされています。また、同氏の漫画版『さらば宇宙戦艦ヤマト愛の戦士たち』では「ブラックタイガー隊」の設定がセリフに反映されている一方、『宇宙戦艦ヤマト』では「空戦隊」という独自の名称が用いられています。

PSゲームシリーズでは、『宇宙戦艦ヤマト遥かなる星イスカンダル』『宇宙戦艦ヤマト英雄の軌跡』『宇宙戦艦ヤマトイスカンダルへの追憶』などに登場し、宮武一貴氏によってリデザインされています。ポリゴン数の削減を考慮したデザインとなっており、胴体下面にはVTOLノズルが追加され、ミサイル装備も可能になっています。「九九式宇宙艦上戦闘機」という正式名称も与えられています。

コスモファルコン：ブラックタイガーの系譜を受け継ぐ後継機

『宇宙戦艦ヤマト2199』シリーズに登場するコスモファルコンは、ブラックタイガーのリメイク機体です。デザインは出渕裕氏と玉盛順一郎氏によって手がけられ、コックピット内は山根公利氏が担当しました。正式名称は「99式空間戦闘攻撃機」で、「ファルコン」または「ハヤブサ」という通称でも呼ばれています。

二次元ノズルを装備し、高いステルス性を有しています。機体各部に配置されたスラスターによって、垂直離着陸やホバリングも可能です。当初は艦上機ではなく、国連地上軍の局地戦闘機として開発されたものの、コスモゼロの量産遅延によりヤマトに転用されたという設定です。

武装は機首の機銃2丁と、主翼付け根の機関砲6門。ミサイルは胴体内の兵倉に8発格納され、主翼のハードポイントにも追加装備が可能です。

デザインはブラックタイガーのシルエットを踏襲しつつ、より現実的な航空機にアレンジされています。主翼は厚みを増し、クリップトデルタ翼に近くなっています。エンジンノズルも、単純な長方形から推力偏向機能を持つ二次元ノズルに変更されています。また、玉盛氏はコスモゼロを「鎧兜」、コスモファルコンを「西洋甲冑」に見立てたデザインとしたと述べています。

カラーリングはブラックタイガーの黄色と黒から、現用航空機に近い色に変更されています。所属によってカラーリングが異なり、防空隊仕様は灰色ベースに紫の翼、ヤマト搭載機は紺色ベースに黄色の翼など、様々なバリエーションが存在します。個人機では、加藤機の赤と「誠」の文字、篠原機の黒と髑髏マークなど、個性的なデザインが見られます。

ブラックタイガーとコスモファルコンは、デザインや設定こそ異なれど、宇宙戦艦ヤマトシリーズにおける重要な戦闘機として、その活躍は多くのファンに記憶されています。両機の系譜は、アニメーションにおけるメカニックデザインの歴史においても、重要な位置を占めていると言えるでしょう。

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