ブラッスリー

ブラッスリー：フランスを代表する飲食店

パリの街角でよく見かけるブラッスリー。気軽な食事から本格的な料理まで楽しめる、フランス独特の飲食店です。この記事では、ブラッスリーの起源から現在まで、その歴史、特徴、そして著名な店を詳しく解説します。

ブラッスリーの起源と歴史

ブラッスリーは、フランス語で「ビアホール」を意味する言葉です。その起源は、1870年の普仏戦争に遡ります。アルザス・ロレーヌ地方からパリに移住してきた人々が、故郷の味であるザワークラウトとビールを提供する店を開いたことが始まりと言われています。当初はパリ在住のドイツ人を中心とした顧客層でしたが、やがてフランス人にも広がり、文人や政治家が集う知識人の社交場としての役割も果たすようになりました。これは、フランス革命期のカフェが担っていた役割と類似しています。

ブラッスリーとその他の飲食店の違い

ブラッスリーの飲食店としての格付けは曖昧です。レストランよりもカジュアルで、ビストロよりも手軽な店と捉えられる一方、カフェよりも高級とされることもあります。カフェ・レストランと同義とみなされる場合もあります。実際には、一流レストランで修業を積んだシェフが営む店や、高級レストランに匹敵する品質の食事を提供する店、そしてあえてブラッスリーを名乗る高級レストランなど、そのレベルは多様です。居酒屋の一種である「マストロケ」もブラッスリーと似た業態とされますが、語源やニュアンスに違いがあり、明確な線引きは困難です。

ブラッスリーの語源

ブラッスリーという単語は、「ビール製造所」を意味する言葉でもあります。その語源には二つの説があります。一つは、古フランス語の「brais（挽いた大麦）」から、もう一つは「brasser（モルトと水を混ぜる）」から派生したという説です。いずれにせよ、19世紀中頃までは「ビール醸造所」のみを意味していましたが、1880年代以降、「ビールを提供する店」という意味も持つようになりました。英語圏における「ビール製造所」としての初出は1864年です。

著名なブラッスリーの例

長年に渡り愛され続ける老舗から、現代的なブラッスリーまで、数多くの店がフランス中に存在します。ここでは、その中からいくつか代表的な例を紹介します。

リップ (Le Lipp): 1880年創業のパリを代表する老舗ブラッスリー。文学賞の主催など、文化活動にも積極的に関わっています。
ラ・クーポール (La Coupole): 1927年創業。ピカソや藤田嗣治など、多くの著名人が顧客として訪れたことで知られるパリの有名店です。
ブラッスリー・ジョルジュ (Brasserie Georges): 1836年創業のリヨンにある老舗ブラッスリー。長い歴史の中で、多くの人々に親しまれてきました。
ポール・ボキューズ (Paul Bocuse): レストランとして名高いポール・ボキューズですが、日本においてはブラッスリーも展開しています。

まとめ

ブラッスリーは、単なる飲食店という枠を超え、フランスの文化や歴史を語る上で重要な存在です。気軽に立ち寄れるカジュアルな店から、洗練された高級店まで、その多様性は魅力の一つです。フランスを訪れた際には、ぜひ本場のブラッスリーで、フランスの食文化を満喫してみてください。 ブラッスリーの歴史と文化に触れることで、フランスへの理解がさらに深まることでしょう。 様々なスタイルのブラッスリーがあるので、自分の好みに合った店を見つけるのも楽しいでしょう。

もう一度検索