ラ・クーポール

ラ・クーポール：パリの文化を彩る歴史的ブラッスリー

パリ14区モンパルナスに佇むラ・クーポール（La Coupole）は、単なるレストランという枠を超えた、パリの歴史と文化を象徴するブラッスリーです。その名はフランス語で「丸天井」を意味し、アール・デコ調の壮麗な内装と、数々の著名人が足を運んだ歴史が、独特の雰囲気を醸し出しています。

創業と華麗なる歴史

1870年の普仏戦争後、アルザス＝ロレーヌ地方からパリに移住した人々によってブラッスリー文化が花開きました。サン＝ジェルマン＝デ＝プレ地区にはすでに老舗カフェが名を馳せていましたが、モンパルナスの1000平方メートルもの広さの石炭置き場は、オーヴェルニュ出身のエルネスト・フローによって1927年12月20日、ラ・クーポールとして新たな歴史を刻むことになります。

開業時には2500名もの招待客が訪れ、その華々しいスタートを飾りました。モンパルナスはエコール・ド・パリの芸術家たちが多く住む地区だったため、彼らによる店内装飾も実現。ピカソ、フジタ、コクトーといった巨匠たちをはじめ、サルトルやヘミングウェイといった文豪も常連客として名を連ねました。地下階で行われたジャズ演奏も人気を博し、ラ・クーポールは瞬く間にパリの社交の中心地となりました。

時代を経て一時的な衰退期を迎えましたが、1988年の改装を経て、現在もその魅力を保ち続けています。多くの人々が「昔ながらの雰囲気がそのまま残っている」と評するその空間は、まさにパリの変わらぬ魅力を体現しています。

アール・デコ調の壮麗な空間

1000平方メートルもの広さを誇る2階建ての建物は、地下階も備えています。アール・デコ調の広大な店内には、絵画で装飾された32本または33本の柱が立ち並び、約300席が用意されています。その壮麗な空間は、訪れる人々を圧倒するほどの存在感を放ちます。1988年には、一部が「歴史的記念物」に指定されるほど、その建築的価値も高く評価されています。

店内には、東京池袋駅東口にある『大地の像』と同じ、ルイ・デルブレ制作の彫刻が置かれています。地下階はかつてダンスホールとして使用され、映画『ラスト・ダンス・イン・パリ』の撮影場所にもなった歴史を持っています。現在では、日曜日の午後のみ開放されています。

アクセスと参考文献

パリメトロ4号線ヴァヴァン駅から徒歩2分という好立地も、ラ・クーポールの魅力の一つです。数多くの書籍やウェブサイトで紹介されており、その歴史や文化的な意義を深く知ることができます。

ラ・クーポールは、単なる食事場所ではなく、パリの歴史、芸術、文化を肌で感じることができる場所です。その独特の雰囲気、歴史的背景、そして洗練された空間は、忘れられない体験を約束してくれるでしょう。多くの観光客や地元の人々が、この歴史的ブラッスリーを訪れ、その魅力を再発見し続けています。 フランス映画『ラ・ブーム』では、主人公が祖母とこの店で食事をするシーンが登場するなど、フランス文化の一部として深く根付いています。

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