ブラッドフォード・アンド・ビングレー

ブラッドフォード・アンド・ビングレーは、イングランド北部のウェスト・ヨークシャー州ビングレーに本拠を置いていた、かつてのイギリスの銀行です。この銀行は、住宅金融組合から転換した経緯を持ち、2007年に発生した世界的な金融危機の影響を大きく受け、経営破綻に至りました。同じく住宅金融組合から転換したノーザン・ロックも、この金融危機の中で破綻しており、当時の金融業界の混乱を象徴する出来事として知られています。

歴史

ブラッドフォード・アンド・ビングレーの歴史は、1851年にそれぞれ設立されたブラッドフォード・エクイタブル住宅金融組合とビングレー・パーマネント住宅金融組合という二つの住宅金融組合に遡ります。これら二つの組合は、1964年に合併し、ブラッドフォード・アンド・ビングレー住宅金融組合として新たなスタートを切りました。

その後、1997年には、ロイズTSBからモーゲージエクスプレス事業を6400万ポンドで買収しました。これにより、ブラッドフォード・アンド・ビングレーは住宅ローン市場での存在感をさらに高めることになります。

2000年12月には、株式会社化を果たし、組合員には最低250株（567.5ポンド相当）から最大5000ポンド相当の株式が付与されました。また、ロンドン証券取引所に「BB」というシンボルで上場し、一般の投資家も株式を取引できるようになりました。この株式化と上場は、ブラッドフォード・アンド・ビングレーが住宅金融組合から、より商業的な銀行へと変貌を遂げたことを示しています。

金融危機と破綻

しかし、2008年9月29日の週末、イギリス政府は金融危機による信用収縮の影響で、ブラッドフォード・アンド・ビングレーを経営破綻した銀行として認定しました。政府は、同銀行の救済のため、事業の一部を分割して売却することを決定しました。その結果、スペインのサンタンデール銀行が、ブラッドフォード・アンド・ビングレーの200億ポンドに及ぶ貯蓄事業をすべて買収しました。この買収により、ブラッドフォード・アンド・ビングレーの支店網や預金は、サンタンデール銀行グループのアビー・ナショナル銀行へと引き継がれることになりました。

一方、ブラッドフォード・アンド・ビングレーが抱えていた住宅ローン債権は、売却されずに残り、一時的にイギリス政府によって国有化されました。現在、これらの住宅ローン債権は、UKフィナンシャル・インベストメンツによって管理・保有されています。

ブラッドフォード・アンド・ビングレーの事例は、金融危機が銀行業界に与えた深刻な影響を如実に示すものであり、住宅金融組合が株式会社に転換したとしても、経済情勢の変化によっては経営が立ち行かなくなる可能性を示唆しています。また、この事例は、金融機関の破綻が、預金者や株主だけでなく、政府にも大きな負担を強いることを示しています。

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