ブラッド・デルプ

ブラッド・デルプ（Bradley Edward Delp、1951年6月12日 - 2007年3月9日）は、アメリカ合衆国のミュージシャンであり、ロックバンド「ボストン」のリードボーカルとして広く知られています。

生い立ちと音楽との出会い

マサチューセッツ州ダンバーズで生まれたデルプは、13歳の時にエド・サリヴァン・ショーでビートルズの演奏を目の当たりにし、ギターを購入しました。これが彼の音楽への情熱に火をつけました。

1970年、彼はダンバーズにあるHotWatt社でコーヒーメーカーの発熱部品の製造に携わっていました。そこで、ボストンの創設者であるトム・ショルツ、ギタリストのバリー・グドロー、ドラマーのジム・マスデアと出会い、彼らが当時カバーバンドで演奏していたことを知ります。

ボストンでの活躍

デルプはボストンのリードボーカルのオーディションに合格し、バンドに加入しました。彼はボストンのアルバムでリードボーカルを務めるだけでなく、バックボーカル、ギター、キーボード、ハーモニカも演奏するなど、多才な才能を発揮しました。トム・ショルツとのコンビで数々のヒット曲を世に送り出し、ボストンの音楽を支えました。

1994年発表のアルバム『ウォーク・オン』では、フラン・コスモがボーカルを担当しましたが、商業的な成功には至りませんでした。デルプは後にライブでコスモとツインボーカルを務め、「コスモは『実にキツい高音パート』を担当していた」と語っています。

ボストン以外での活動

デルプはボストン以外でも様々な音楽活動を行いました。1980年には、当時のボストンのメンバーだったグドローのソロ・アルバムでリード・ボーカルを担当し、数曲を共同で作曲しました。1984年には、グドローがコスモらと結成したオリオン・ザ・ハンターのアルバムにゲストとして参加しました。さらに、グドローとRTZを結成し、アルバム『Return to Zero』（1989年）と『Lost』（1998年）でリードボーカルを担当しました。2003年には、グドローとの共作アルバム『Delp and Goudreau』を発表しています。

また、1984年に公開されたカナダ映画『Best Revenge』の音楽を担当したキース・エマーソンの楽曲「Playing For Keeps」でボーカルを担当しました。

ボストンの活動休止中には、ビートルズのカバーバンド「Beatlejuice」で演奏するなど、音楽への情熱を絶やすことはありませんでした。

彼は30年来のベジタリアンであり、数多くの慈善運動にも積極的に参加していました。

突然の死

デルプはミック・デルプとの間に二人の子供をもうけましたが、後に離婚しました。2007年には、長年交際していたガールフレンドのPamela Sullivanとの結婚を予定しており、ボストンのサマーツアーも計画されていました。

しかし、2007年3月9日、ニューハンプシャー州アトキンソンにある自宅で死亡しているのが発見されました。享年55歳でした。

同日、ボストンの公式サイトには「我々はロックンロール界で最もナイスな男を失った」というコメントが掲載されました。デルプの死を受けて、彼が当日パフォーマンスを予定していたBeatlejuiceは、今後のライブをキャンセルしました。警察の発表によると、死因は一酸化炭素中毒による自殺でした。

ブラッド・デルプの歌声と音楽は、これからも多くの人々の心に響き続けるでしょう。

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