ブラディ・サンデー (U2の曲)

U2 ブラディ・サンデー（Sunday Bloody Sunday）

U2の3枚目のアルバム『WAR(闘)』のオープニングを飾る楽曲であり、3枚目のシングルとしてリリースされた「ブラディ・サンデー」。この曲は、北アイルランド紛争下の悲劇、血の日曜日事件をテーマにしています。「New Year's Day」と並び、U2の代表曲として世界中で愛されています。

楽曲解説

この曲は、アルバム『WAR』のレコーディング中に、エッジが一人で書き上げました。当時、恋人とのいざこざや自身の作曲能力への葛藤からくる鬱憤を、曲作りにぶつけたと言われています。ボノが紛失した鞄の中から、血の日曜日事件をテーマにした曲のアイデアが書き込まれたノートが見つかったことから、以前からバンド内にこのテーマへの関心があったことが伺えます。

ボノは当時、ジョン・レノンに傾倒しており、彼の同テーマの楽曲に触発された可能性があります。ボノは、血の日曜日事件と、カトリックとプロテスタント双方にとって重要な祝日である復活祭の日曜日を対比させることを考えました。ニューヨーク・タイムズの記事で、ボノは当時の心境を語っています。

当初、エッジが書いた歌詞は、過激な表現が含まれていたため、現在の歌詞に修正されました。

ドラムのラリーは、プロデューサーのリリーホワイトからメトロノームの使用を勧められましたが、最初は抵抗がありました。しかし、尊敬するドラマー、アンディ・ニューマークからメトロノームの使用を勧められ、最終的に使用を決意。「ブラディ・サンデー」の特徴的なドラムのリズムは、ラリーの郵便局のマーチングバンドでの経験が生かされていると言われています。

また、この曲には、後にIn Tua NuaやThe Waterboysに参加するスティーブ・ウイッカムがエレクトリック・ヴァイオリンで参加しています。エッジがバス停にいたところ、ウイッカムから声をかけられ、参加が決まったというエピソードがあります。

ライブパフォーマンス

「ブラディ・サンデー」は、2015年7月24日時点で800回近く演奏されており、U2の楽曲の中で3番目にライブ演奏回数が多い曲です。

1982年12月20日、初めてベルファストで演奏された際、ボノは緊張のあまり、「もし気に入らなければ、二度とベルファストでは演奏しない」と宣言しました。しかし、演奏が終わると、観客は熱狂しました。その後、ボノは「これは反逆の歌ではない」と前置きしてから演奏するようになり、Warツアーでは白旗を振って「ノー・モア！」と観客を煽るパフォーマンスを行いました。1985年のライブエイドでも、U2はこの曲を演奏しました。

The Unforgettable FireツアーやThe Joshua Treeツアーでも、「ブラディ・サンデー」はライブの中心的な存在でした。映画『U2/魂の叫び』には、1987年11月8日にIRAが仕掛けた爆弾により多くの犠牲者が出たエニスキレン爆破事件に怒るボノの熱いパフォーマンスが収録されています。

ボノは、この公演で「ブラディ・サンデー」が「本物」になったと考え、一時的に演奏しないことを決意しました。しかし、Popmartツアーのサラエボ公演でエッジがアコースティックギターで演奏し、新たな手応えを掴むと、再びセットリストの常連となり、その後のツアーでも毎回演奏されました。

サウンドトラック

ポール・グリーングラス監督の映画『ブラディ・サンデー』（2002年）のエンドクレジットには、「ブラディ・サンデー」のライブバージョンが使用されています。

オマージュとカバー

シネイド・オコナーは、「ブラディ・サンデー」へのアンサーソングとして「This is a Rebel Song」を発表しました。また、DJシャドウは「Lost And Found」でラリーのドラムをサンプリングし、ジェイ・Zはグラストンベリー・フェスティバルで「ブラディ・サンデー」と「Heart Of The City」をマッシュアップした曲を披露しました。阿部和重の短編集には「SBS」というタイトルの作品が収録されています。

その他、Red Hot Chili Peppers、Paramore、ソウル・ウィリアムズ、ノルウェン・ルロワなど、多くのアーティストが「ブラディ・サンデー」をカバーしています。

評価

「ブラディ・サンデー」は、数々の音楽メディアやランキングで高い評価を受けています。ローリングストーン誌の「オールタイムベストソング500」にも選ばれており、U2の代表曲として、その地位を確立しています。

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